【妄想小説】甘い色(1) | 彼方からの手紙

彼方からの手紙

ラブレターフロム彼方 日々のお手紙です

<第1話>

女子会

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「マコトさんほんとに!

いろいろありがとうございました」

 

かわいい後輩ちゃんが

私にペコリと頭を下げる。

 

「さっきからそればっかりー。

別になんにもしてないってば」

 

「そんなことないです、

空港に相葉さん来てくれたのだって

 

「ううん、あれは相葉ちゃんが

迎えに行ったほうがいいと思ったから、

勝手に連絡しただけだもん」

 

「でもほんとに、

マコトさんのおかげで

付き合えることになったので…

ありがとうございます」

 

後輩ちゃんがまた、

ペコリと深く頭を下げる。

 

飲んだアルコールの分だけ

頬が赤くなってる彼女は

とってもとってもかわいいな。

 

いろいろを乗り越えて、
無事に恋人同士になった

相葉ちゃんたち。

はじめての彼と新しい恋の間で、

ゆらゆら揺れてた時期は、
どこか影があったけど。

 

晴れて相葉ちゃんと恋人になった今は

毎日とっても幸せそうだから。

私まで勝手に、嬉しい気持ち。

 

「マコトさん」

 

「んー?」

 

今度はわたしが、

マコトさんの力になりたいです」

 

「松本さんとのこと」

 

”松本さんとのこと”

 

そう言われてドキンと

胸が強く打つ。


「松本さんに告白、

されたんですよね?」

 

「ああーーー、…うん」

 

彼女の誕生日をお祝いした夜。

終電を逃した、あの日のこと。

 

”ちょっと聞いてほしいんだけど”

 

緊張してた潤の声を思い出す。

 

真夜中の空気、

小さなバーの狭いカウンターで

私を見つめる潤の甘い瞳を…思い出す。

”あらためて言わなくても

もうわかってると思うけど”

 

”マコトが好きだ”

 

あの日潤が、

まっすぐ伝えてくれた言葉。

 

 

「告白のお返事、

なんてしたんですか?」

 

「…………」

 

「なにかあったんなら、

聞かせてください」

 

「…………」

 

もうずっとずっと、

引っかかってしまってる

心の奥底にある気持ち。

 

後輩ちゃんに聞いてもらったら…

少しは変わるかな。

 

「……あのね、」

 

「はいはいおまたせ~」

 

頼んでた飲み物、

テーブルに置くニノの声に

会話が中断する。

 

「はい、ピーチサワー」

 

「ありがとうございます」

 

「これマコさんのビールね」

 

「ありがとーニノ」

 

「そしてこれはオレのビールでーす。

よっこいしょ」

 

「え?なにビール飲んでるの?

そしてなんでここ座るの。笑」

 

4人掛けのテーブル席、

私の隣にどっかり腰を下ろす

ニノにツッコミ。

 

「だって今日女子会でしょ?

オレも入れてよ」

 

「オレも入れてって…笑」

 

さらっと自然に、

私たちの間に入ってくるの、

ほんとニノだなあ。


「オレら3人の時にしか

話せないことあるでしょー。

相葉さんと潤くんがいないなんて

こんなレアなことないんだから。ねえ?」

 

「ふふふっ」

 

ねえ?と笑いかける

ニノの向かい側で、

後輩ちゃんが楽しそうに笑う。

 

「店主が座ってていいの?」

 

「いいのいいの。バイトくんたち、

がんばってくれてるんで」

 

椅子にだらーっと腰かけて

長居する気満々のニノ。

 

すっかりリラックスして

ごくごくビールを飲んでる姿は、

ほんとにただのお客さんみたい。

 

「最近マラソン部は?

相変わらず走ってんの?」

 

「ちょっとペースは落ちてて、

月1回くらいになってますけど、

ちゃんと走ってます」

 

「へー」

 

「マラソンじゃなくてももう、

相葉ちゃんとずーっと一緒に

過ごせてるんだもんねー♪

そりゃ部活はペース落ちるよ」

 

「いえそういうわけじゃ、」

 

ちょっと慌ててる後輩ちゃん、

かわいい。

 

「でも相葉さんほんと良かったよなー。

すげー好きなのダダ漏れてたじゃん」

 

「ふふ…うんうん」

 

「オレから見たら、潤くんもだけど?」

 

「え?」

 

「潤くんも、マコさんのこと

すげー好きだと思うけど」

 

「わたしもそう思います」

 

まっすぐこっちに向けられてる

ふたりの目。

思わず視線を逸らす。

 

「マコさんだって、

潤くんのことすげー好きじゃん」

 

「………」

 

「なんで2人つきあわないの?

まさかマコさんも

実は彼氏いるとか言わないよね?」

 

「そんな人いるわけないよ。笑」

 

「いやわかってんだけどさ。

一応の確認よ、確認。笑」

 

「じゃあもしかして…

忘れられない人がいる、とかですか?」

 

ううん、と首を横に振る。

 

「じゃあなによ。なんなのよ?

なんの問題があんのよ」

 

カララン

 

「ニノお疲れ~。あ」

 

「………」

 

「マコトたち来てたんだ」

 

「…ここで潤くん登場か。笑」

 

扉を開けて、

お店に入ってきたのは。

 

もうずっとずっと、

大好きな人。

 

大好きで大好きで、

大好きだからこそ…

 

絶対に嫌われたくない、

たったひとりの人。

 

 

<第1話>

女子会

 

 

(初出:2019.5.29)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

読んでいただき

ありがとうございます(^^)

 

 

【小ネタメモ】

 

まずはマコト編が8話、

そのあと潤くん視点の潤編が8話あって、

あわせて全16話となってます。

 

書いてた当時はちょうど

5×20ベストアルバムの発売と

ジャニーさんのことがあって、

マコト編と潤編の間が

ひと月くらい空いたりしまして。

 

今思うとたぶん、

いっぱいいっぱい状態で書いてたんだろな、

あらためて読み直すと、あーここ、

ほんとはこうしたかったんだけど…

みたいなのが他の作品に比べてけっこうあって。

なのでこの先、潤編は特に、

加筆修正が多くなると思います。

 

前のを読んでくださってた方には

また新しい感じで、

Reborn楽しんでもらえたら(^^)

 

使った写真は

綾野剛(似の店主)のカフェの

アンティークっぽいライトです、

久しく行けてないけど

剛(似の店主)元気にしてるかな~。

 

明日第2話アップします。

なによ!なんなのよ?

状態は明日で解決する予定です。

 

今日もおつきあい

ありがとうでした(^^)/