福島市の百貨店「中合」は28日、福島店の2番館を今年8月末で閉店すると発表した。建物が耐震基準を満たしておらず、建て替えには多額の資金が必要なため閉店を決めたという。1番館はこれまで通り営業する。

 中合によると、2015年4月、2番館が国の耐震基準を満たしていないことが判明。建物を所有する企業側と建て替えや補強工事を検討したが、いずれも費用がかさみ、採算が合わないと判断した。

 中合福島店は1973年、JR福島駅前に開店。98年に2番館を開いた。婦人服を主に扱う1番館に対し、2番館は食品や紳士服などを置き、男性客の集客も狙った。現在は地下1階から6階まで44のテナントが入る。

 中合福島店は少子高齢化の影響などから近年は客足が細っていた。15年の売上高は約95億円で、ピーク時の92年の5割弱だった。

 中合は今後、2番館のテナントの一部を1番館に移すことを検討する。2番館を所有する企業の担当者は「建物の活用方法については今後検討していく」としている。

 福島市の小林香市長は28日、「閉店は残念だが1番館が残ってほっとしている」と話した。
(2017/3/1 朝日新聞)

(コメント)
  耐震改修問題でその動向が注目されていた平和ビルから中合福島店二番館の撤退が決定した。

 

 平和ビルは昭和48年福島駅前第一地区市街地再開発事業として、現中合一番館およびホテル辰巳屋が入居する辰巳屋ビルとともに建築された。中合が大町(現ホテルサンルートプラザ所在地)から辰巳屋ビルに、山田百貨店が本町(現福島学院大学駅前キャンパス)から平和ビルに移転増床することで、大町・本町から駅前へ商業の中心地の大きな地殻変動をもたらした。

 当時この地区にはハトヤフードセンター、商工中金福島支店、山田ハッピースーパーなど11店舗が営業していたが、地権者等18人は再開発組合を結成し、商工中金福島支店より20億円の融資を得て、鉄骨鉄筋コンクリート造り地上7階、地下2階のビルを建設。中合との間には公共の広場も設けた。昭和48年11月18日、山田百貨店ほか23店舗が入居し、福島ショッピングデパートとして開業した。

 山田百貨店は当時同じニチイ(後のマイカル・民事再生後イオンに吸収合併)傘下の地域百貨店との提携・合併を経て、福島ビブレとして営業していた。その後、福島ビブレが曾根田地区に積水ハウスが開発する曾根田ショッピングセンターに移転する計画が発表され、平和ビルは空きビルとなることが懸念された。当時空きビルとして危険性や中心市街地衰退の象徴とされていたエンドーチェーンビルになぞらえ、第二のエンドチェービルとなるのか?と注目を集めた。

 当時の中合の親会社・ダイエーから出向した地元出身の当時の社長が「地域に根差す百貨店として、中心市街地の商業集積を守り、郊外の大型店に対抗する」として、中合が平和ビルに出店し空きビルの危機は免れた。当時、中合と山田(ビブレ)の間にある公園は中山公園と呼ばれ親しまれるなど、中合と山田は「ニコイチ」として長く親しまれてきており、その一方が欠けることは当時の中合にとって大きな問題であった。中合二番館と新・福島ビブレは、平成10年3月1日に同時開店し、開店当初は大きな注目を集めたものの、中心市街地の衰退の波は避けられず当時一番館部分のみで180億円ほどあった売上高は増床後も伸び悩んだ。

 平和ビルは昨年、耐震改修促進法に基づく安全性評価で「震度6強以上の地震で倒壊する危険性が高い」と診断された。その後、耐震化に向けてビルとテナント側の協議が進められてきたが、昨年テナントの一つである商工中金福島支店が退去し福島駅西口に新築移転、そして今回中合福島店の退去に至った。

 尚、一番館が入居する辰巳屋ビルは行政の支援も受けながら耐震化工事を行うよていとなっている。中合は「当社の経営状況と今回の閉店は無関係である」としあくまでも耐震基準の安全性の観点から閉店を決定したとしている。


 福島市の中心市街地では、駅前通りのリニューアルが進められているほか、平成33年には現在店舗・駐車場として暫定利用となっているコルニエツタヤ跡地に福島県立医大の保険医療系学部キャンパスが新設予定となっている。

 当時の中合の社長が平和ビルに出店を決めた際に「隣接ビルが空きビルであれば影響は避けられない」と話していたように、耐震基準を満たさないビルが長期に渡り放置されることは福島中心市街地の再活性化に暗い影を落としかねず、同敷地の利活用に注目が集まる。

■ニュースリリース 商工中金福島支店の移転について
http://www.shokochukin.co.jp/news/pdf/n_151207_01.pdf

■中合福島店
http://nakago.com/


8月末で閉店する中合福島店二番館(都市商業研究所より)

 

(続報記事)

8月末に閉館し空きビルになっていた旧中合福島店二番館(平和ビル)は来年3月に取り壊される見通しになった。福島市の不動産会社エスケーコーポレーションが、土地と建物を購入し解体する。同社は市や福島商工会議所と連携し、平和ビル跡地周辺を一体的に利活用し中心市街地活性化を目指す。エスケーコーポレーションは15日、旧二番館を所有する平和ビルから土地約3500平方メートルと建物を購入する売買契約を結んだ。平和ビルは来年2月末まで中合と建物の賃貸契約を締結しているため、契約期間終了後の来年3月1日にエスケーコーポレーションに土地、建物を引き渡す予定。同社を含むふくしま未来研究会グループは、平和ビル周辺の土地を多く所有している。同社や市、福島商工会議所は平和ビルの跡地利用などを検討する懇談会を開いており、複合ビルの建設など再開発に向けた動きが活発化するとみられる。関係者によると、複合ビルの案として、商業施設や公益施設、住居、オフィスなどが挙がっているという。平和ビルの解体費用は10億円程度の見通し。解体後は当面の間、駐車場を兼ねたイベント広場とし、現在の中合ツイン広場との一体的な活用を目指す。
(福島民報 2017/9/16)

株式会社 エスケーコーポレーション
http://skc-f.com/

 

一般財団法人 ふくしま未来研究会
https://fukushima-mirai.com/

県立医大の新学部 福島駅東口に開設の方針が決定
http://ameblo.jp/megu-1727/entry-12214315484.html
(参考)上記、ふくしま未来研究会が敷地を福島市に寄付し開設にこぎつける