グバハリ

Gbahali


Artwork by Tim Morris 

グバハリは西アフリカのリベリアに出現するとされる爬虫類型の未確認生物。

リベリアの中でもロファ郡の熱帯雨林を流れるカハイ川流域に生息しているとされる。居穴棲のものと半水棲のものがあるといわれ、主に半水棲のものが語られる。


全長6-9メートルで、ワニに似ているがワニではなく、胴体はトカゲ的であるが、四肢はワニ的で、三列の鋸歯状の装甲が背に並び、強力な尾、短い顔を備え、眼は顔の後半にあり、一説には牙は動くともいわれる。


アフリカの未確認生物では、伝承の幻獣が西洋文明によって未確認生物として紹介された例も少なくないが、グバハリの場合現地住民は一貫して実在する生物として扱っている。

人間とグバハリの関係性は双方にとって天敵であり、漁師がグバハリを網で捕らえショットガンで屠殺し市場で販売した例があるとされるほか、200711月には逆にゲレマ村にグバハリが襲撃し男性を殺害したという。


ジョン・マーク・シェパードは現地に古生物図鑑を持参し、地域の住民に見せグバハリはどれに近いかを聞いた。すると、住民はポストスクスを指し「顔と胴体はこれに似ている」と証言した。

ポストスクスは三畳紀の北米の生き物だ。しかし、三畳紀は多くの大陸がひとまとまりになっており、現在の北米の地域とアフリカの地域は地続きであったから、生き残りだというのならば地理的におかしいとも言い難い。

ただ、現在アフリカの地域からもポストスクスに近いとされる古生物は産出している。

それがアルガナスクスだ。


Photo by Ghedo

生き残りだというのならポストスクスよりアルガナスクス説を推したい。


ただ、やはり時間的問題がある。どちらの生き残りだとしても、これに近い仲間の化石が三畳紀で途絶え、全くその後の地層に現れないのは不自然だろう。

全ての生き物が化石になるわけではなく、発見される可能性も含めると化石が発見されるのはかなり奇跡的な確率だ。だとしても、他の生き物の化石は当たり前のように産出しているのに、何の痕跡もないというのは少し問題のある話だ。


故に、何らかの現生生物の誤認や、現生生物の道の近縁種ということになる。

形態から最も考えやすいのはワニ、それも大きさからナイルワニだが、現地住民は「ワニに似ているがワニではない」と明確に区別している。

では、トカゲの仲間ではどうだろう。アフリカに分布する大型の肉食トカゲといえば、オオトカゲだ。

三列の装甲というのはワニなどに見られる皮骨板(Osteoderm)のことと思われるが、オオトカゲの仲間の多くはこれを持たない。オオトカゲの中でもコモドオオトカゲは真皮が骨化して鎧を形作っているが、これは表皮の下にあるため外見には現れない。

現地住民の話をそのまま受け取るのなら、ワニでも既知のトカゲでもない新種としか言いようがない。

地理的にコビトカバを正体に挙げる者もいるが、ポストスクスの復元画とは似ても似つかない。


しかし、これらは前提として「普通の状態なら」、という言葉が必要だ。

同種であっても見た目が普通の個体と違っていたならこの限りではない。


見た目からワニとして考えると、顎を欠損したワニなのではないかという考えが浮かぶ。ワニは生命力が強く、顎が欠けた個体もしばしば見られる。

これを踏まえると、体が成長していくのに対し、欠けた顎では求められる餌の量を確保できずに死亡してしまい、幻の存在と化しているとも考えられるのではないだろうか。