ベーヒアル (ベヒル)

Beithir


ベーヒアルはイギリスのスコットランド地域に伝わる伝説上の生き物。伝説の起源は普通にみられる蛇ヨーロッパユウダと稲妻であると考えられ、これらの要素は破壊的な性質を持っている点が共通している。


語源については諸説あるが、本来は「熊」「獣」「蛇」「雷」などの意味であるという。


ベーヒアルは細長い爬虫類型の怪物で、場合によってはドラゴンにも分類される。フーア(イギリスの水の妖怪の総称)としても扱われるが、こちらはより近年に付与された属性とみられる。

ベーヒアルは強力な怪物だが、火炎や魔法といった能力は持たない。主な武器は毒針で、刺突攻撃を行う。

人間がベーヒアルの毒針を受けた場合、付近の水場(川や湖)に向かう必要がある。被害者が先に水場に到達すれば解毒され治癒するが、ベーヒアルの方が先に到達すれば治らないという。


ベーヒアルは自然に種族として存在するだけでなく、蛇が人間に殺害されることで後天的にも生ずる。蛇を殺す時は、頭部と胴体を切り離して適切な距離を置いた上で頭を破壊しなければ、部位同士がくっついて甦りベーヒアルへと変化すると伝わる。


ベーヒアルは普段、峡谷や山岳の洞窟に潜むという。前述の通り雷と密接な関係があり、ベーヒアルが見られる日は「落雷のあった夏の夜」であるといわれる。


ベーヒアルは20世紀に目撃情報があり、UMAとしても知られる。

未確認生物としての目撃は1930年に遡る。

1930年代、ベーヒアルはア・ミューリ湖の付近で報告された。


1965930日、モーリン・フォードがテイ川沿いの路上に横たわる灰色のベーヒアルを報告した。この時のベーヒアルはとぐろを巻くように丸くなっており、体は細長く、頭部には耳のような形の角が生えていた。

ベーヒアルは同じ地点で翌日も目撃され、この時ロバート・スワンキーの報告したベーヒアルは全長約6メートル、頭長60センチ。全長の10分の1を頭部が占める。動きは緩慢で、ガラスを爪で引っ掻くような奇妙な音を立てたという。


1975年、キルモラック付近の峡谷で漁師の団体がベーヒアルと遭遇。ベーヒアルは漁師が自身を観察していることに気づき、驚いてビューフォート城の方角へと泳ぎ去った。


1975年以降、ベーヒアルの目撃情報は報告されていない。