「pas」
彼女の歩みpasは確かだった。
一歩一歩pas à pas、着実に、確実に。
手招きに導かれるがままに、されど、自らの意思のままに歩いてきた。
どこへ?
彼方へ。
彼方への歩みLe Pas au-delà。
そして再び、子午線の前。
彼女は初めて足を止めた。
彼方がないLe Pas au-delà。
「sans-Pas」
足跡trace de pasがない。
彼女はどこから歩いてきたのか。
道passageもない。
彼女はどこへ歩いてゆくのか。
あの情熱passionと忍耐patienceに満ちた過去passé。
もはやそれらすべては超えられぬものl'indépassableなのか。
ないne pas。
ない、ない、彼方がない。
ない、ない、此方がない。
歩みなき歩みpas sans-pas。
「faux pas」
門番が近づいてくる。
「通るpasserのか?」
彼女は小さく首を振った
「そうか。」
門番はスキットルを強く振り、最後の数滴を大きく開けた口の中に落とすと
「よし」とつぶやき、重そうな門を閉めた。
そして彼女は再び歩きpas始めた。
一歩一歩pas à pas、着実に、確実に。
すべてが踏み外しfaux pasである一歩一歩を。