「シスタースマイル―ドミニクの歌」
観ました。
ずっと観たかった映画。
主演はセシル・ドゥ・フランス。
彼女については本ブログでも何度か書いてるけど、本当に、本当に、本当に大好きな女優さん。
そんな彼女の映画。観ないわけがない。
セシル・ドゥ・フランスが演じるは「ドミニクの歌」のジャニーヌ・デッケルズ。
「モンテーニュ通りのカフェ」で演じたジェシカとは真逆ともいえるほどにかけ離れた役どころ。
ジャニーヌは他人の影響を受けやすく、そのくせやたらと我が強い女の子。わがままで、自分勝手で、いつも周りの人間を振り回す。時にはアフリカに行きたいと言い出し、時には美術学校に通いたいと言う。ころころと夢を変える彼女。大人たちがいくら諭そうと全く聞く耳を持たない。
そんな彼女がある日、修道院に入ると言い出した。だが今回はいつものような単なる思いつきに終わらず、ギターとトランクを手に持ち、大声を挙げて反対する両親といとこを押しのけ、家を飛び出した。
ところが修道院でもジャニーヌのわがままっぷりは変わらない。食事の質素さに文句をたれ、お腹がすいたと保存庫から勝手にパンを取り出す。教会的な秩序に染まる様子は全くない。
そんな様子を見かねたマザーは、入院時に取り上げていたギターをジャニーヌに渡す。ジャニーヌは毎日、毎夜、子供のように弦をかき鳴らし、聖ドミニコを讃えた一曲の歌を完成させる。「ドミニクの歌」。
彼女の整った容姿、澄んだ歌声、明るく、楽しげな曲調。レコード会社フィリップ社は彼女に目をつけ、ジャニーヌはシスター・スマイルという芸名でレコードデビューを飾る。
映像、ラジオ、雑誌など、各種媒体を通じて流れたその歌は、50万枚もを売り上げる大ヒット。ジャニーヌはいてもたってもいられない。たくさんの人の前で歌いたい。彼女の夢は、また、変わった。わがままな彼女。マザーや修道女たちの説教なんて耳に入ってこない。
修道院を飛び出した彼女はその足でレコード会社に向かう。ところが、そこで驚愕の事実を聞く。シスター・スマイルという芸名は修道院に帰属しており、その名で活動はかなわない。収益は全て教会に寄付されることになっており、彼女には一銭も支払われない。
行き場を失った彼女は親友アニーのもとに駆け込む。だが、アニーはジャニーヌに思いを寄せるレズビアン。還俗した修道女とレズビアン女性との同棲をマスコミは見逃すはずもない。スキャンダルを浴び、おびえるジャニーヌは全ての責任をアニーに押し付け、またも飛び出した。
行きついたのは小さな安ホテル。だがそこで一つの光明。マネージャー業を務める一人男性がジャニーヌを見つけ、コンサートを開かないかと声をかける。
大きな会場、満員の観客。ステージの上でジャニーヌは恍惚とした表情を浮かべる。そこで披露した曲は2曲。「ドミニクの歌」。そして、「黄金のピル」。
だが観客の一人に教会の人間がいた。彼はすぐに枢機卿に報告をする。「ジャニーヌは教会の名を汚している」。教会権力は世界中に圧力をかける。もはや、ジャニーヌに行き場は、完全になくなった。
最後に行き着いたのはアニーのところだった。レズビアンであるアニーを心の片隅で毛嫌いしていたジャニーヌ。だけど、ジャニーヌの疲れ果てた心をいやしてくれるのは、抱きしめてくれるのは、アニーしかいなかった。
2人の小さな生活は笑顔で満ちていた。薬を飲み、命を断つ、最後の瞬間まで。
ストーリーはこんな感じ。
セシル・ドゥ・フランスはさすがの演技。やっぱり、彼女は笑顔はすごい好き。楽しそうにギターをかき鳴らすその表情は、大きく口を開けてアニーと語らうその表情は、観る者を画面にくぎ付けにする。
それに、今作に関してはアニーを演じるサンドリーヌ・ブランクが、とにかく、とにかく素晴らしかった。ジャニーヌとの友情、ジャニーヌを想う恋心、ジャニーヌを受け止める包容力、その押しも引きもしない謙虚な役どころを、見事に演じていた。
最後のシーン。死を待つ彼女たち。にもかかわらず恐怖のかけらも感じさせない2人の笑顔。友情に、信頼に、そして愛に満ちたホワイトキューブの小さな空間。素敵すぎる。