強者の理屈はいつでもまかり通る。
すぐにそれを証明しよう。
澄んだ水の流れで子ヒツジがのどの渇きをいやしていた。
腹がへって、なにかいいことはないかと探していたオオカミが、
飢えを満たそうとその場所へやってきた。
「なんできさまはおれの飲みものを濁らせるような大胆なことをする。」
そのけものは怒りに燃えて言った。
「ですぎたまねをこらしめてやる。」
「陛下」と子ヒツジは答えた。「なにとぞ/お怒りなさいませんように。
そんなことおっしゃらないで、わたくしが/陛下より二十歩以上
川しもで/水を飲んでいることを、
したがって、陛下のお飲み物を
濁らせることはけっしてできないということをお考えくださいませ。」
「きさまは濁らしている。」残忍なけものは言い張った。
「それに、きさまが去年おれの悪口を言ったのも知っているぞ。」
どうしてそんなことができましょう、まだ生まれてもいなかったのに」
と子ヒツジは言った。「私はまだ母さんの乳を吸っているんです。」
「おまえでなきゃ、おまえの兄貴だ。」
「兄はおりません。」「じゃおまえの身内のだれかだ。
おまえたちはおれを容赦しない、
おまえたちも、羊飼いも、イヌも。
おれはそう聞いている。おれはかたきをうたなきゃならん。」
そういうと、オオカミは、森の奥へ
子ヒツジをさらっていって、それから、食べてしまった。
正規の裁判もしないで。
(ラ・フォンテーヌ「オオカミと子ヒツジ」『寓話 上』p87)