神子の運命~戦う少女~第32話「肝試し11」

作・葉菜

1,2時間目の授業なんか全然頭に入らなかった。

そして、とうとう中休みがやってきた。

私と、大野君、美紀ちゃん以外のクラスメイトは全員クラスにはいない。

男子には大野君が、女子には美紀ちゃんが話を通しておいてくれた。

だから、衣真も出雲ちゃんもいない。

美紀ちゃんが、教室の扉の窓にカーテンをし、私の机までやってきた。

私の前の席、つまり衣真の席から椅子を引っ張り出し、私に向かうようにして座った。

大野君は私の横に座った。

「相模。今回のことは、相模がやったのか。」

大野君が美紀ちゃんをまっすぐ見つめて言った。

「・・・。」

美紀ちゃんは何も言わなかった。

「相模。」

大野君は、美紀ちゃんの名前を呼んだ。

その言葉に、「本当のことを言ってくれ」と願いを込めているように、私には聞こえた。

美紀ちゃんは、目線を下におろした。

「じゃあ、先に俺の気持ちを伝えよう。」

大野君は少し間をおいてから、話し始めた。

「俺は、神崎が好きだ。」

「!!」

私は大野君を見た。

美紀ちゃんも顔をあげ、目を見開いた。

(うそ・・・。)

「だから、神崎の気持ちも教えてほしい。俺のこと、どう思ってるんだ?」

「わ、私は、大野君のことをどう思っているのか、自分でもわからないんです。でも、大野君といると楽しくて、胸がどきどきして・・・。美紀ちゃんや、他の子たちが大野君といるのを見るのは、あまりいい気分じゃなくて・・・。これは、大野君を好きだということなのですか?」

私が言い終わると、美紀ちゃんが震えた声で言った。

「何よそれ・・・。何なのよ!!!!!」

美紀ちゃんが机をバンと音を立てて、叩いた。椅子も、ガタンと倒れた。

「美紀ちゃん・・・?」

「それはね、「好き」ってことなのよ!私だってね、あんたが好きになるずっと前から青葉君が好きだったわよ。幼稚園生のころから、ずっとずっと・・・。」

美紀ちゃんの声がだんだんかすれ始めついに、しゃべるのを途中でやめてしまった。

それでも、声を振りしぼった。

「ずっとずっと、大好きだったんだから・・・。でも、気づいてもらえなくて、振り向いてもらえなくて、小学校に上がると、青葉君の目にはとうとう、神子ちゃんしか映らなくなった・・・。」

「わかってたもん・・・。知ってたもん・・・。だけど、好きだから・・・。あきらめきれないから・・・。」

そこで、一呼吸して

「だから、昨日、神子ちゃんの家に入っていく大野君を見たら、すごく悔しかった・・・。」

「私のほうが、神子ちゃんより、何倍も何十倍も何百倍も青葉君が大好きなのに・・・。なんでなの!!」

美紀ちゃんが顔をあげた。目には今にもこぼれおちそうな、いっぱいの涙がたまっていた。

つづく

こんばんは。

次回からは、美紀ちゃんを大野君の幼少期のお話になります。

まあ、回想ですね。本編からは、少しはなれますが、5話のうちには終わる予定なので安心してください。

それでは、バッハハーイハナ



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