神子の運命~戦う少女~第20話「特訓4」

作・葉菜

「もう。また逃げちゃって。いつまでたっても進歩しないよ?」

「でも・・・。」

11月18日。朝休み。

私は、どうも大野君の前に出ると、恥ずかしくなってきてしまう。

大野青葉(おおのあおば)。クラスのリーダー的存在で、男子からも女子からも人気が高い。

でも、勉強はまったくできないみたい。運動神経は抜群なんだけどな。

休み時間は毎日、校庭で遊んでる。

ドッジボールとか、鬼ごっことかなんでも得意。

「まったく。自分の気持ちにも気付かないなんて。どんだけ鈍感なのよ。」

「え?何か言った?」

衣真が何かをつぶやいたようだったけど、私にはよく聞こえなかった。

「いや。何にも言ってないけど。そういえばさ、来週にある男女ペアの季節はずれの肝試し、ペア決まったの?」

「ううん。まだだけど・・・。」

ちょうど来週に伝統的な「男女ペア!!季節はずれの肝試し!!」がある。

参加は自由。

もとは、男女の仲を深めるためのものだったけど、裏では高学年の恋人同士を作る作戦だという。

私は特にそういうのに興味は持っていなくて、男子のほうからお誘いがきたら受けていただけだった。

誘われなかったら、参加はしていなかった。

衣真なんか、男子から大変な人気だ。

クラスの半分の男子は衣真に申し込むだろう。

でも、衣真は今まで一度も肝試しに出たことがない。

理由は

「めんどくさいから。」

だそうだ。

「衣真は、また出ないんでしょ。」

「あ、うん。めんどくさいしね。」

顔の前で手をひらひらさせた。

そして、いまだに衣真に誘い回数が負けていないのが、出雲ちゃんだ。

でも、出雲ちゃんも今まで一度も出たことがない。

本人は、興味がないみたい。

ていうか、今年までなんなのかよくわかってなかったみたいだし。

彼女が言うには

「肝試し?なんですかそれ?」

だそうだ。

「じゃあさ、大野君とペアになってみれば?彼も2週間ぐらい前から、ずーっと神子に熱い視線、送ってるよ?」

「え?」

横を見ると、いつも遊びに行っちゃう大野君が席に座って男子と談笑していた。

私は一番後ろの席で、大野君は横一つ空けて、隣だった。

「気づかなかったの?席近いの・・・。ていうか、隣なのに・・・。」

「だって、衣真と喋ってたし・・・。」

すると、うるさかった隣がもっとうるさくなった。

美紀ちゃんたちのグループが、大野君の横に来た。

「あれ、今日は青葉君、遊びに行ってないんだぁ。そんなことより、ペア誰にするか決めたのぉ?」

美紀ちゃんが、ヘンに大野君にベタベタくっついてきた。

(なんだろう。この気持ち。なんかもやもやする・・・。)

「ああ。それに、心ではもうペア決めてるんだけど、もうしこんでないだけなんだ。」

「えええ!!そうなの?だれだれぇ?このクラス?もしかして、今ここにいる?」

美紀ちゃんが、目をおっきく開いて聞いた。

「え?それは・・・。」

大野君がしゃべりだそうとしたとき、衣真が突然話に割り込んだ。

「あのさ、大野君、神子になんか話すことない?」

「「!」」

私と大野君は衣真のほうを、見た。

「あ、ああ。神崎。ちょっときてくんない?」

大野くんがまっすぐ私のほうを見た。

「え?あ、え?わ、私?」

      *

衣真が私たちを、屋上に連れて行って、そのまま私たちを置いて帰ってしまった。

美紀ちゃんたちは不満そうだったけど、衣真が言いくるめていた。

「あ、あの。なんでしょうか?今日、教科書でも忘れたんですか?それだったら、席くっつけますけど・・・。」

「ちげーよ。あのさ、神崎、肝試しのペア決まった?」

大野君が少し俯き加減に聞いてきた。

「い、いえ。私、今年は出ようか迷っていたので・・・。」

「え?そうなの?でないの?」

いきなり、驚いたように顔をあげた。

「あ、いえ。さそわれれば出ますけど、特にお誘いが来ないので。」

「じゃあさ・・・オレと組まない?」

「え!!」

大野君が顔を赤くして、言った。

「え、あの。私なんかじゃなくて、美紀ちゃんとかがよろしいのではないでしょうか?」

「いや、お前じゃなきゃだめなんだよ・・・。」

私は、全く意味がわからなかった。

ただ、わかっていることは今まさに、私は「うれしい」と感じていることだけだった。

つづく

こんばんは。

第20話、みてくれたあなたに最大級の感謝です!!

ちゃんと、更新できて良かった!

いや、神子はホントに鈍感ですねぇ。

大野君の気持ちにも、美紀ちゃんの気持ちにも気付いてないなんて・・・。

それでは、バッハハーイハナ


ペタしてね「肝試し、神崎と一緒に行くんだから、ぺタしろよな!!」dy大野君