神子の運命~戦う少女~第16話「天界空羽3」

作・葉菜

「父上。やめてください。そんなことされると、私・・・。」

私は、涙をこらえるのが大変だった。

何に悲しいのか、何に対して泣いているのかわからなかった。

そんな私を、二人とも黙って見守ってくれた。

そんな重たい空気を、壊してくれた人がいた。

「失礼しますね。」

そう言ってはいってきたのは、母上だった。

「お茶と、お菓子ですよ。お菓子はね、私が作ったんですよ。ヨーグルトクッキーです。あ、音さんにはおせんべいがありますからね。」

一人でしゃべって、一人でお菓子をおいて、「じゃ、ごゆっくり。」といって、戻って行った。

母上は何も知らない。何も。私たちの素性も知らないまま、こうやって私たちにお茶を持ってきてくれたのだ。

そんな、母上を思うとまた涙が出てきそうになってしまった。

「食べましょうか。せっかく、詩さんが持ってきてくれましたので。」

出雲ちゃんは、あわてた感じで言った。

「はい・・・。」

私はどうしたらいいのだろうか?

つづく