神子の運命~戦う少女~第11話「目覚めたちから3」

作・葉菜

「すべてをお話しいたします。姫君。」

「風間さん?」

私のことを1度見つめると、話し始めた。

「あなたは、人間ではありません。」

「!!」

私はその場に、ぺたんと座りこんでしまった。

どうしていいかわからず、複雑な気持ちだった。

「そして、真の名は竜宮水城(りゅうぐうみずき)。」

そこで一息置いた。

「水城様は浦島太郎のお話を知っていますか?」

私はうなずいた。

「そのおはなしにでてきている、竜宮城は本当にあります。」

「え?」

やっと声を出せた。

「お話とは少し違いますが・・・。そして、水城様は竜宮国の王、竜王さまの娘です。」

また一息置いた。

「竜宮国の敵国、天界国。竜宮国は海の中。天界国は空の上にあります。」

出雲ちゃんは厳しい顔をした。

「天界国は名ばかりはいい国ですが、人間の清い心をのっとってしまう力があります。そして、清い心を戻せるのは、竜宮国の姫だけです。清い心は、邪悪な心に変わり、または、人間の生命力を低下させます。」

「ちょっと待って!!」

私は思わず叫んでしまった。

だって、そんなのおかしいじゃない。私は、父上と母上、神崎音と詩の娘。

そして、2つ上の姉上、神崎神がいる。

「私は、私はどうして、竜宮国ではなくここにいるのですか?私はなぜ神崎家に?」

「では、水城様の質問から答えさせてもらいます。」

私は、たちなおした。

「天界国にも、国王の子供がいます。その子供が人間界に降り立ったという情報が、竜宮国に入ってきました。」

「それで?」

「天界国の国王の子供は竜宮国と同様に、子供しか力を使うことができません。そしてその力のことを「笛魔術」といいます。」

「ふえまじゅつ?」

「はい。両国とも魔術をかけるとき、解くときに特別な笛を使います。天界国の笛を「空天」。竜宮国の笛を「水竜」と呼びます。「空天」が黒い笛。「水竜」が白い笛。それぞれ、国旗と使い手の名が彫られています。」

「くうてん?すいりゅう?だんだん話が見えてきました。もう、説明はいいです。さっきの質問の答えまでたどり着くのには、説明が多いので。1年生が倒れたのは、その天界国の仕業だというんですね。」

うすうす見えてきた話を必死で理解した。私は天界国と戦わなきゃいけない。

つづく