神子の運命~戦う少女~第9話「目覚めた力1」

作・葉菜

「位置について、よーい!!」

バンッ!!

銃声が響くとみんなが一斉に駆け出した。

5年生は100メートル走。

走る相手の中にはリレーの選手の衣真がいる。

でも、負ける気はしない。

だって、父上が見に来ているんですもの。

どんどん、隣の人を追い抜かしてく。

ついには、衣真と競っていた。

ゴールテープを切ったのは、リレー選手の衣真ではなく私!!

うれしかった。いつも私の50センチ先をいく、衣真を私がぬかしたんだ。

「やったー!!」

私は飛び跳ねて喜んだ。

「くやしいな。神子に負けるなんて。」

ハァハァと息をあげながら、衣真が言った。

でも、その顔は楽しそうな顔をしていた。私も走っていてとっても楽しかった。

「うん!父上が見に来てるんですもの。1番じゃなくちゃいにがないものね。」

「父上パワーすごいな・・・(笑)」

そんなことを話していると、女子組の1番最後のレーンがやってきた。

出雲ちゃんだ。

リレーの選手でしかも学年トップの速さだけあって、後ろの人と2メートルもの差がある。

「風間さんすごいね。リレーの練習でも1番だったから早さは知ってたけど・・・。」

衣真はちょっと悔しそうに言った。

「それにしても、私をぬかすぐらいの早さなのに、どうして、補欠にも入らないんだろうね。」

衣真が私の顔をじっと見て言った。

「リレーの選手って練習があるじゃない。掃除の時間に。それが嫌なの」

「どうして?掃除しなくて済むじゃない。」

「なんだか、やらないと気がすまないのよ。」

「神子ってホント変わってるね。」

「そう?」

この言葉は本心なのだ。

それをしってこそ、衣真はため息交じりに言うのだ。

    *

「神子、早かったわねぇ。組み体操も上手にできてたじゃない。」

午前の部が終わり、お弁当。

母上が食後のお茶を注ぎながら言った。

「父上がきてくれたからよね。衣真ちゃんが言っていたように、父上パワーは最強ね。」

姉上が、笑いながら言った。

父上は読書中。

「ありがとうございます。本当に自分でもあんなスピードが出せるとは思っていなくて・・・。」

父上と隣り合わせですわっていたせいか、少し緊張していたが、お茶を飲むとすっきりした。

「音さん。食事中ぐらい読書をやめてくださいね。今日の主役は神子なんですから。」

「うむ。すまんな。いちどページを開くと、止まらなくてな。」

父上は私に優しく言ってくれた。

「い、いえ!大丈夫です。にもう行かなくてはなりませんし。それでは行ってまいります。」

私は急いで靴を履いて、飛び出した。そして、そのまま児童席に戻った。

父上が優しい声を出すなんて、驚いてしまって。

席に座って、ぼーっとしていると、肩を叩かれた。

「はい?」

振り返ると、髪の毛ぼさぼさの出雲ちゃんだった。

「風間さん。お弁当はおいしかったですか?おばあさん帰ってきてよかったですね。」

出雲ちゃんのおばあさんは、運動会のことを思い出して急遽帰ってきてくれたのだ。

出雲ちゃんは子くりとうなずくと話し始めた。

「これから、神崎さんの運命が大きく変わる。だけど、きっと大丈夫。私が守るから。」

私は出雲ちゃんが何を言っているのかがさっぱりわからなかった。

つづく

しばらく更新遅くなっちゃいました。

昨日は運動会でした!!

けっかは白組の勝ち。

私の組が勝つことができました。

うれしかったです。