稲本さんから頂いた謎の信頼感に応えるべく、全然わからなかったけれどグーグル先生にいくつか質問をしてみた。

確かにナンでだろうと素朴に思ったからだ。


調べる前に思っていたのは、紙幣の真贋の読み取り部分を制御している技術を持つメーカーの数なんてたかが知れているし、変な人がその技術を持つとシャレにならないときもあるはずなので、基本的に限られた財務省・日銀の御用メーカーに近い位置づけなのだろうから、裏でしっかり事前に死ぬほどサンプルテストをやっているんだろう、くらいなものだったが、調べてみたらなかなか面白かった。


まず、2022年の日経の記事で、29社が日銀に機械を持ち込んでテストをしたとあった。そういう意味で事前の予想は大きく外れてはいなかったが、既にその22年の時点で3回目のテストであるとの内容。そんな前からやっているのねと、感心しつつ、まあそりゃそうか、用意する側にとっては三年でも十分ギリギリのスケジュールだよなとも思った。規模にもよるが、ここへの対応はたぶん会社の生死を分ける。


だいたい、新紙幣って何枚刷ってるのかな?と思って調べたら、2023年度だけで30億枚刷っているのだそうだ。正月も返上で回すとして365日で割ると、実に1日に800万枚である。そんなに必要かな?とも思ったが、たしかにこれが全部一万円札としても30兆円にしか過ぎない。ちなみに世の中に出回っている紙幣の総額も調べたが、120兆円くらいなのだそうだ。だから最大でもその四分の一程度、実際は5000円札と1000円札も含むのだから、30億枚は金額で言えばいいところ今世の中にある10分の1くらいの入れ替え分とかなのだろう。

仮の数字で考えても、相当程度の割合の入れ替えを終えるにはフル稼働で十年以上かかることになる。


世界三位の経済大国の紙幣を入れ替えるのは、やはり大事業なのであった。刷るのも大変だが、それを流通させるための社会インフラを整えるのもよほど大変であって、それを実現するには一糸乱れぬ政府日銀と民間企業の協力関係が求められるのだろう。


そういうわけなので、読み取り機器のメーカーなどは、紙幣の入れ替えが検討されているときから関係者とコミュニケーションを続けており、公にデザインが発表された直後から開発、テスト、必要台数の実機導入に向けたスケジュールが具体的に引かれて、プロジェクトが進んでいるということなのだと思う。


お金の流通は、社会インフラの極みのような事業である。万一失敗すると実態経済にも大きな影響を与えかねない相当ミゼラブルなことになる。

限られたプレイヤーたちが限られたコミュニティの中で、秘密裏に必死になって準備している、ということなのだ。


ありがとうございます。