某お客さんにレストランに連れて行ってもらった。
会員制のレストランなんだと。

さすがにこういう場で料理や会場をパシャパシャ撮るのは人としての格を下げるだけなので、トイレに行った隙にほっつき歩いて、おのぼりさんの欲求を満たすための探検。
トロフィーがぴかぴかしていたり、謎の図書館があったりした。ここはレストランぞ。なぜ。

昨日は60人くらいのパーティーだったが、この日は更にこじんまりして13人ほどだった。ぼんやりしていて許される感じは全くしない。ぼくたちのチーム以外はすべて外国人である。

会話はまあ結局、飲めばなんとかなる理論で乗り切るのだった。

シャンパンを飲みながら立ち話していたら、ホスト側のイケメンでハーバード卒の、絵に描いたようなアメリカのエリート青年がこのレストランのメンバーなのだという。たしかに、高い背丈、サラッとしたブロンドをサッとおデコをだして分けた髪型、仕立の良さそうなスーツ、保守的なネクタイの柄、映画で見たようなアイビー・リーグの世界である。

ぼくは思わずウヌぬと唸った。


着席して、隣のいかにも偉いおじさんと、時差ボケ酷くてまじ死にそうですわ!昨日のディナーでも船漕いでた。今日は大丈夫だけど。→別に今日も船漕いでもいいけどケーキに顔突っ込んだら助けてやるよ!→頼んます!みたいな会話をしていたら、最後まで時差ボケのネタを擦られた。
6割くらいしか会話がわからぬのは相変わらずで、おじさんは歳の功で適当に流してくれるけど、本場のゴールドマン・サックスの人だという若い女性は、明らかにぼくの英語に困惑していた。まあボビー・オロゴンの英語みたいなもんなので仕方ないのだが、そんなこと言われても知らん。
鈍感に堂々といこうじゃないか、上手くいかなければヘラヘラしてりゃよいと割り切れば、なんとかなる。

そんな世界観である。招かれて来ておいて遠慮するのも変なので、適当に楽しく飲ませてもらった。
こういう世界もあるのなあ、と興味深く眺めた。

そして、ぼくが日本でホストをするときにもちゃんとこういうそれっぽいところに連れてかないといけないのか、と気がついた。
最近部長が色んな店を教えてくれるのは、たぶんこういうことなのだ。これが海外で、そういう社会階層の人たちがぼく程度のヤツを招いてくれるときのおもてなしの基準であるとすれば、ふむ、たしかに、なるほど、と思える。
おじさんたちは、ただ会社の金で高いメシ食っているだけあじゃないらしい。
メシ屋をどう選ぶかについての意識が変わった気がした。仕事には色んな種類がある。
一つ大人になった。