息子はたけのこの里が好きだ。


きのこたけのこ戦争とは罪深いものである。日本国民であれば2歳からの参戦を余儀なくされる凄惨な戦場だ。不幸中の幸いは、両親と信条がずれていなかったことか。肉親同士で宗教や思想が分かれると、これほど辛いものはない。


冗談は置いておいて、初鰹は「たけのこをくれ」と言い続けるので、我が家に小分けパック(5粒入り)が常備されることになった。

お皿に入れていつも渡すので、個数を把握したらしい。妻が一つ摘んで渡すと、ママからたけのこの匂いがするという物言いがついて、不興を買うことになった。


そんなやりとりを眺めていたら、猿をだまくらかす、朝三暮四という故事成語を思い出した。なんとかだまくらかす方法はないかと考えたのだけれど、朝にたけのこの里を食べさすわけにはいかないのであきらめることにする。

だいたいうちの息子は、猿よりは賢い。おそらく。