日本人のぼくから見ても、ガザの一般のパレスチナ人が、ハマスを消極的に支持した廉で、他国の正規軍から撫で斬りにされるなんて許容しがたい。


もちろんこれまでも、テロがあり、報復があり、紛争停戦がありだったわけだが、世界の衆人環視の中で、地上戦で軍隊が非軍人を塗り潰すように殺すような事態はなかったはずだ。


イスラエルからすれば、ほんじゃ原爆は?ベトナムは?イラク戦争は?トルコや中国やロシアやドイツに民族浄化だのなんだのと言われたくねえぞ。という主張もわからないではないが、やはりだから認めるというわけにもいかない。


ぼくらですらそうなのに、同じアラブ国家が黙って見ていられるのか。もちろん我が身可愛さで言えば、基本的には勝てない戦いをすべきではないが、ほぼ目の前で特定地域のアラブ人が(彼らの歴史的なスタンスからすれば、極めて理不尽に)皆殺しにされるのを政治的にも心情的にもただ眺めているわけにはいくまい。 

そういうわけでイランが、マジでガザやったら介入せざるを得んわ、というコメントを出した。牽制だと思いたいけど、わからない。


イスラエルからしたら、いつもいかなるときも存亡の危機と隣合わせなのだった。たしかにガザやパレスチナ自治区はイスラエルが包囲しているが、その外は全てアラブなので、イスラエルは極限に孤立しているというのが正しい。それにとどまらず歴史的にも、心情的にも世界の孤児であり、自分と同胞しか信じないことで生き残ってきた経緯がある。


アメリカの支持、世界の反対、指導者の政治的な必要性、なんでいつも俺等だけこんな目にという屈折した気持ちと孤立感。

日本人には全く想像のつかない地獄の炎が心を占めているのだろう。ひたすら相手を動物呼ばわりするあたり、差別の対象となってきた白人による有色人種への差別的要素も絡んだ、暗い炎が感じられる。

もしここから軍事行動にブレーキがかかったら、ぼくはイスラエルの見識や冷静や自律を心から尊敬するけれど、どうしてもそうはならないのだろう。


イランが出てきたら、第5次中東戦争まで起こり得る展開になる。ロシアとウクライナもまだまだ続く。いろいろ長引けばアメリカの民主党にとってだっていい展開にはならない。

アメリカがあちらこちらでやってパワーバランスが変わるので、台中海峡もおかしなことになる可能性が出てくる。なにしろ、ウクライナはNATOが地続きで、中東はエネルギーとイスラエルだ。残念ながら欧米にとって極東のプライオリティは低くならざるを得ない。


そういう意味で、日本人も緊張しておいた方がいい。

とりあえず、この問題にはどちらにも顔を立てて置いておいて、日本近海が燃えたときにどうするかを考えることに力を注ぐべきだ。

だから今のところ、日本政府は冷静だと思う。