ヴィヴィヴイ。
ヴィヴィヴイ。
ティーティン。
ティーティン。

夏休みなので部屋でぼんやりしていたら、携帯電話が鳴き出した。
ありゃあ、大丈夫かいなと身構えていたけれど、一向に揺れない。それでもNHKは、これから起こる可能性もありますからと、警戒を呼びかけている。

在宅勤務の妻と待つ。待つというのもおかしいけれど、待てども来ない。来ない。
様子を見ていたらば、出かける気がなくなってしまった。久しぶりに本屋に行くつもりだったのだ。

気象庁は詫びたらしい。
詫びる必要はない。
空振り結構である。
失敗を恐れて萎縮される方が恐い。

明日もまた夏休みだ。
山の近くにある侘びた宿屋で涼んでいたりしたいものだが、いまの世界はそんなささやかな希望はまったく許さる余地がない。
仕方がないので三色丼を作って無聊を慰めた。
甘くてフワッとしたとらえどころの無い味で、お匙がサクサク進む。
この世界では、自炊の能力が上がる。