WHOの人である。
感染症のスペシャリストで、世界中でSARSやエボラ出血熱の現場指揮に当たった経験を持つというファイターである。半端な人ではなかろう。

NHKの某キャスターが新型コロナに関するインタビューをしていた。
その受け答えが非常に正直でフェアに感じたので、印象に残ったのだった。本当にデキる人は、あの短い間でも、能力と人格を示すものなのだなあと思った。

一部を紹介する。

中国寄りで、バランスを欠くとの指摘もありますが?

まあ、そうでしょうね(笑)。特にSARSのときのトラウマがある人も多いでしょう。でも、中国はSARSの時と比べれば、格段に成長した。そういう意味でテドロスが称賛したことはあれでよかったと思う。
全ての国の協力を得て、フェアな環境でWHOがリーダーシップを取っていきたい。

日本の感染対策についての世界の捉え方はどうですか?

うまく行っている。実際、世界最高水準の感染症研究の蓄積があり、同じく最高水準の医療体制がこれまで崩れずに来ているのは素晴らしい。国民の感染症に対する知識レベルが高く、施策の有効性を理解して従うビヘイビアも他の国ではなかなかこうはいかない。日本のみに通用するやり方で結果を出していることは世界中が認めている。


なんというか、組織人として必要な大事な部分は残した上で、しっかり自らの見解を明瞭に述べていた。主君に平然と言いたいことを言い放つ戦国時代の豪傑(クビになっても仕官先は山とある)のような芯のある対応だった。
きっとあの人は、組織人として精一杯の努力をした上で、最後は自らの熱意と良心に拠って判断をすることのできる人なのだと思う。

(彼女が日本の対応は素晴らしいとコメントしたことについて、)「本当ですか?」って私は確認したんですよ…と、残念そう?に言っていたキャスターとは差がありすぎて、なんだか哀しくなった。国営放送のエースというとびきりの選良としての気概はないものなのだろうか。

そういえば、国営放送に哀しくなるのは今回に限ったことではなかったことを思い出した。