ニュースが出ている。
両方ともINCJの代表的案件だ。

JDIは、液晶の価格競争とAppleのモバイル用有機ELのローンチが早まったことによって苦境に陥っている。寄せ集め技術者集団のマージとその高い人件費など、国内工場を支えるだけの付加価値をとれなかったということなのだろうか。Appleに作れと言われて、金の一部も前受けで出してもらって建設した白山工場も、ほとんど動かなかったと聞く。上場に成功し、儲かっていた時期も短いがあるのだ。ポジションが悪くなったら短期間のうちにどこまでも悪くなるのが汎用デバイスの世界なのだから、いい時に打った手が間違っていた、もしくは元々のポートフォリオでは一本道しか残っていたなかった、という点において、当初からの経営陣の手腕に原因を求めざるを得ないと思う。

ルネサスは社長が交代するらしい。
元INCJの柴田さんである。ルネサスに投資するときの責任者で、転籍してCFOをしていた。元金融屋さんがトップをやってうまくいく業種だとはまったく思わないので、そこをカバーするよほど気心の知れた経営と技術をバランス良くわかる腹心がいるのだろう。リストラと成長に向けた買収をしながら大きな視点からの入れ替えをしていく舵取りは本当に大変だと思う。会社の買い物をするにしても、高くて高くてなかなか手が出ないだろうし、リストラも大きなところは終わっているのだ。大変な戦いが待っている。

さて、その経緯からルネサスをJDIと一緒くたに語る言説もあるが、巷間言われているようにこの2社は根本的に違う。
汎用的なスマホ向け液晶と、特に日系自動車トヨタ系向けの半導体(マイコン)ではまったく重要度と、特殊性が違うのだ。

仮にルネサスが左前になったとしても、台中連合に買われるのは、日本政府もトヨタも「許さん!」ということに間違いなくなる。誰かが救わざるを得ない。

裏を返すと、台中連合に買われるという選択肢を取らざるを得ないくらい、それが容認されてしまうほど、JDIは競争力的にも、政策的な重要性においても、残念ながら低下してしまったということなのだろう。加えてその連合においても空中分解が起きていて、結局は中国のファンド頼みという展開になっている。あとは泥縄になるのだろう。いつものことといえばいつものことなのかもしれない。

エルピーダの一度目の危機のときも日台連合と言っていて、経緯は違えども直前で瓦解した。苦しくなると銀行からの金が出ないので、どうしてもスポンサーを募ることになる。とうぜん簡単には決まらない。圧倒的なホンハイのようなヤツがいればいいのだが、連合というのはやはり次善の策であり、巨額の買収投資の際にはものすごく危うい均衡の上にあってプレイせざるを得ず、均衡を保ちきれないことの方が多いように思う。

両社の動向を引き続きウォッチしたい。

ハワイにいても気になるニュースについて、思ったことをダラダラと述べた。