新年度予算勉強会、無事終了しました。
少人数だったので具体的な意見交換も出来て大変有意義な時間となりました。内容は下記のとおりです。
令和8年度 五泉市新年度予算勉強会
◆主催 五泉市議会議員 桑原一憲
◆令和8年4月10日(金)19:00
◆さくらんど会館2F小会議室
五泉市の令和8年度一般会計総額は 241億2,000万円(前年度比 4.9%減)となっており、全体としては引き締まった内容ですが、その中身には特徴があります。田邊市長は施政方針演説の中で「今年度は市長選もあり、中長期ビジョンに立った政策的事業は計上せず、継続的な事業を盛り込んだ骨格予算」との説明がありました。
1. 歳入(どこからお金が入ってくるか)
地方自治体が財政的に自立できていない状態を表す「3割自治」という言葉がありますが。五泉市も予算の約7割を国や県からの交付金・支出金(依存財源)に頼っています。そんな中、明るい材料もあります。
・市税の増加: 市税収入は 約56億2,500万円(前年度比 4.3%増)と伸びています。特に個人市民税や法人市民税が増加しており、米価高騰による農業所得の増加などによるものですが、物価上昇分については国の支援もあり、これまで低迷してきた米価が安定する事で農業経営が安定する事は、農業が基幹産業の一つである五泉市としては明るい材料と言えます。
・市債の抑制: 借金にあたる「市債」の発行を 19億700万円(前年度比52.2%減)と大幅に減で、将来の負担を抑える姿勢を表しています。
2. 歳出(何にお金を使うか)
支出面では、市民生活に直結する「民生費」が大きな割合を占めています。
・目的別:「民生費(福祉・子育て)」が約86億円(全体の35.8%)で最大です。次いで「公債費(借金の返済)」が15.1%、「総務費」が11.2%と続きます。
・性質別: 給与などの「人件費」や、福祉サービスの「扶助費」といった義務的経費が全体の48.5%(約117億円)を占めており、家計でいう「固定費」が非常に高い構造です。
・投資的経費: 道路や公共施設の整備にあてるお金は約16億円(前年度比 26.8%減)となっており、新規の大型プロジェクトよりも維持管理に重点を置いている時期と言えます。
3. 財政の健全性と将来への備え
注目すべきは、貯金(基金)の状況と借金の返済計画です。
・財政調整基金(貯金): 令和8年度末の見込みは 約50億6,800万円。前年度より約3億円積み増しており、災害や急な支出に備える力が強化されていると言えます。
・市債現在高(借金の残高): 一般会計の借金残高は 約235億円 にまで減少 する見込みです。着実に借金を減らしている健全な傾向にあります。
・実質公債費比率: 8.5%(見込み)となっており、早期健全化基準(25%)を大きく下回る安全圏を維持しています。
4. 中期財政見通しの主要ポイント(令和8年〜17年)
(1) 収支不足の恒常化(最大の懸念点)
・シミュレーションによると、令和9年度以降、毎年約8億円〜11億円規模の収支不足が発生すると予測されています。
・要因: 社会保障費(扶助費)の増加と、老朽化した公共施設の更新費用が重なるためです。
・対策: 現状では「財政調整基金(貯金)」を取り崩すことで対応する計画ですが、このままでは貯金が底をつく恐れがあります。
(2)歳入のトレンド:市税の減少予測
現在は好調な市税ですが、長期的には人口減少の影響を避けられません。
・個人市民税: 令和10年度以降、段階的に減少していく見込みです。
・地方交付税: 国の方針に左右されますが、基本的には横ばいか微減で推移すると予測されており、自前の財源確保がより重要になります。
(3) 歳出のトレンド:投資的経費のピーク
令和10年度〜12年度にかけて、大型の公共事業や施設改修が計画されている場合、投資的経費(建設費など)が一時的に増大する「山」があります。
・この期間をどう乗り切るか、あるいは事業の優先順位をどう整理するかが、私たち市議会および行政の腕の見せ所となります。
5.今日の勉強会のポイント
(1)「義務的経費」のコントロール: 予算の半分を占める固定費をどう効率化し、新たな投資に回す余裕を作るか。
(2)依存財源からの脱却: 市税は増えているものの、依然として33%を占める「地方交付税」に左右される体制をどう改善するか。
(3)社会保障の充実: 民生費の中で、特に子育て支援や高齢者福祉のバランスをどう取っていくか。
6.今日の勉強会で深堀すべき「3つの提言」~通期的な視点で~
(1)「貯金の使い道」の議論: 現在は約50億円ある財政調整基金ですが、「10年後の収支不足を補填するため」に取っておくのか、それとも「将来の税収増につながる先行投資」に使うのか、戦略的な議論が必要です。
(2)公共施設の「選択と集中」: 維持補修費が毎年数億円単位で発生し続ける中、どの施設を残し、どの施設を集約するかという「公共施設マネジメント」の加速が求められます。
(3)デジタル化・AI活用による事務経費の削減:
人件費(義務的経費)が削減しにくい中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって一般事務費や業務委託費をどこまで圧縮できるか。これは、以前から関心をお持ちの「行政効率化」に直結するテーマです。
まとめ
令和8年度予算は一見、堅実で貯金も増えているように見えます。しかし、10年スパンの『中期財政見通し』を見ると、10億円規模の赤字が毎年続く厳しい未来が予測されています。今、私たちが議論すべきは、『この10年の猶予期間に、どんな手を打つか』ということです。





