恐る恐るお店をのぞいてみる。

 

椅子に座ってる主人が見えた。

 

 

 

近づいてみると

 

一目でおかしいことがわかった。

 

椅子に浅く腰を掛け

足を延ばしたまま

ぐったりしてた。

 

目は開いてた。

 

「救急車呼ぶね」

 

「うん」

うなずいたように感じた。

 

 

119

震える手で電話する。

 

 

消防ですか?救急ですか?

どうされましたか?

呼吸していますか?

場所はどこですか?

もう一度聞きます。

呼吸してますか?

救急車もう向かってます。

近づいてきたら外に出て手を振ってください。

 

 

サイレンの音がする。

外に出て思いっきり手を振る。

 

 

救急隊が来てくれて

主人を運び出そうにも

物がたくさんあるせいで

担架に乗せられない

 

床にあるものをどけて道筋を作り

主人が運ばれる。

 

 

健康保険証どこにあるの?

電気の消し方もわからない。

機械が動いたまんんま

どうやって止めたらいいのかわからない。

鍵はどこ?

 

 

何にもわからない。

 

 

急がなきゃ

急がなきゃ

 

もうそのままにして救急車に乗った。

 

主人は何か言いたそうだった。