僕の名前は阿良々木ハカリ。どこかの阿良々木家や物語とは関係ないと言っておこう。

あと、一部の方々。特に女性を不愉快にする可能性がある内容だとも先に言っておきたい。

 

今日、僕は前々から懸念していた歯の痛みから歯医者へとおもむいた。決して歯医者が苦手だということで避けていたわけではない。

むしろ僕は季節が変わる前から行きたかった。ただ低収入を極めているハカリ青年には金がなかったのだ。

 

そんな僕だったが、やっと少しの金銭的な余裕が見えてきたのでついに歯医者に行くことにした。一体どれだけが忌々しい虫歯菌に食い荒らされているのかと不安だったのは隠せない。

 

「来週くらいに行ければいいなー」

 

そんな軽い気持ちで、インターネット検索で一番しっかりしたホームページだった歯医者に電話をした。

結論から話そう。

電話に出た女性が指定してきたのは今日の夕方だった。そして帰ってきてすぐにこれを打っている。

 

何故そんなことをしているのか。答えは簡単だ。凄まじい体験をしてしまったその興奮が隠せないからだ。

 

僕は羽川のような胸と八九寺のような胸、どちらが好きかと問われればどちらも愛すべき胸だと答える。女性の胸に優劣をつけるなど愚かなことだ。だが、もしも羽川が胸を揉ませてくれるというのならもちろん揉ませてもらう。

 

とにかく僕が言いたかったのは、そこまで胸に興味はなかったということ。

 

なにをいきなり関係のないことを言っているのだと思うだろう。しかし、大いに関係がある。

こんな都市伝説を聞いたことはないだろうか。

 

『歯科医が巨乳で治療中に頭にぱいおつが当たり続けていた』

『歯の治療中に、胸を押し当てていると治療がはかどる』

 

僕はこのようなことはただの都市伝説だと思っていた。

女性が自ら胸を当たるような行為をするか?? あの羽川ですらそんなことはしないぞ??

 

始めて入った歯科はどこか古めかしく、懐かしい気持ちを覚えた。僕が引っ越す前の地域は本当に裕福な地域だったのだと格差を感じた。同じ県内だというのに。

 

受け付けをしていたのはメイド服が似合いそうな雰囲気の眼鏡の女性。どこか羽川に似ている。

そう思いながら、記入用紙に名前を書いていく。今朝の配信で、丁度マスキさんが名前の話をしていたところだったので、どうにも自分の名前の意味を思い出してため息を書きながら本名を記入した。

 

その後、丁寧なカウンセリングがあり建物の古さとは裏腹に治療自体はかなり現代的だと頷かずにはいられない僕だったが急ごしらえで作っただろというレベルの部屋の狭さにはツッコミを入れたくなる。

 

今日は初の診察なのでレントゲンの撮影が主だったわけで、またもや僕は狭い部屋に投げ込まれた。撮影を終わってから僕は今日カラコンをつけていたことを思い出した。撮り直しなどになったら倍の金額を取られるだろうか……そんな不安を抱いたけれど杞憂だったようだ。

 

出来上がったレントゲン写真を見ながら僕は思った。あご下の脂肪が映っている。痩せなければ。

そんなことを考えていたら歯科医が来た。どこにでもいそうな町医者という感じの男性。

ずっと痛かったところを説明したのだが「異常は見られない」といわれた。

 

マジかよ。確実に神経までやられていると思ったのに。今すぐにセカンドオピニオンを召喚したくなる僕に対して歯科医は続ける。

「あ、反対側には虫歯があるね」

自分自身のセカンドオピニオンが欲しくなった。

 

部分レントゲンというものを撮ることになり、助手の女性によくわからない紙のようなものを噛まされたのだが、これが歯茎に刺さってとても痛い。とても痛いのに中々撮り終わらない。だが、男。阿良々木こんなことで騒いだりしない。

 

レントゲンが終わり、口の中の清掃をするのでそのまま待ってくれと言われた。クール系美人だった。なんてことを考えてると、他の助手の女性が入ってくる。

この医院は何気に人数が多い。

そしてその女性は見るからにさっきのクール系美人よりも胸が大きかった。

 

おっとりとした口調で「椅子倒しますねー」と椅子を倒される。ライトで目の前が明るくなると同時に、頭に柔らかいものが押し当てられる。そう。ある程度知っている柔らかいものだが、頭で、でこでその柔らかさを感じるのは初めてだった。

 

帽子のように柔らかなものに頭を包まれる。暖かさはないが、適度な重みがあり、たまに形が変化する。

 

僕は確信した。これはおっぱいだと!!

そう、あの都市伝説に聞いていた治療中に押し当てられるおっぱいだと!!

 

これは夢か!? 夢なのか?! 否。現実である。

 

その後、僕の頭の中はすべてのことを忘れておっぱいと眼鏡だった。医者の話もよく聞かずおっぱいで頭はいっぱいだった。おっぱいいっぱいだ。

あの受け付けの子と今のおっぱいが合わされば最強なのではないか。いや、それはただの羽川か。

 

とにもかくにも、どう考えても見てわかる虫歯があったが予約は二週間後にされた。だがとにかくおっぱいの感触が忘れられない。バイクのエンジンをかけて走り始めても、そこそこのイケメンが歓楽街に向かっているのをみても頭の中はおっぱいでいっぱいだった。

 

でっかいおっぱいは正義だ。

 

それでもあえて主張はしたい。

べつに、阿良々木ハカリはおっぱいに興味はないと!