「鶴松さん。空の上や海の向こうには何があるのかな?
地球の端っこってどうなってるのかな?
人はいずれ、死んでしまうのに,なんで生まれてくるのかな?
人は死んだらどこへ行くのかな?」

「また、吉ちゃんの質問攻めが始まったな・・
空の上の遥か彼方には、神様仏様が住んでいて僕たちを見守っているのさっ。」

「うん。」

「僕は、父ちゃんから教えてもらった星の神話の物語を信じてるんやけど・・
神様じゃない僕たちは、夜空に輝く星にはなれないんだからさっ。
人生一度きりなんだから、したいことやりたいことしないとね~ 」

吉と鶴松の周りには、正しさを探求したり、
物事を深く考えたりする哲学的な人はいませでした。

ただ単純に、自然崇拝をして星や海や山の神様を信じて祈ったり、
お祭りの時に神社や寺で舞を踊ったり、
祈禱したりする行事 だけを儀式のように繰り返していました。

村人たちは昔からの伝説や迷信を信じ、酒や塩で清めたり
何か、呪文やお経を唱えたりして、火祭りや五穀をお供えしての信心を持っいるだけでした。

安政元年(1854年)11月10日

吉が13歳になった頃。

伊豆下田に 大地震 と大津波 が立ち続けに 襲来し、吉と村人たちは阿鼻叫喚地獄の苦しみを経験するこになります。 
 吉はこの震災で、動かなくなった養母おせんの死体の傍に立ち尽くし、
震えて泣いていました。