時代劇好きの母と見ていた水戸黄門で、
お祝い事(祝言)のシーンになると黄門さまが必ず歌う唄がありました。


♪タカサゴヤ〜 コノウラブネニホヲアゲテェ〜

 

能「高砂」を、ご縁あって能楽師の方からご招待いただいて観に行って来ました。

あの黄門さまの唄は、この高砂の一節だったんだということを、初めて知りました。

 


▲正面の後ろの方の席。全体が見渡せるいい席に座れました。

 

「高砂」の主人公は、結納の時に納めるじじばば、こと、共白髪。

二人が箒とはたきを持っているのは、高砂の松の手入れや周りの掃除をするためで、

実はこの二人、高砂、住吉、相生の松の精なのです。

九州阿蘇の神主が高砂でこの二人に出会い、

話を聞くと「自分たちは松の精なのです」と明かし、

住吉に先に行って待ってるからと姿を消します。

やがて住吉に着くと松の精がやって来て舞を踊る。

と、悪い人が出てこない縁起のいいお話しでした。

 

黄門さまが歌っていた「♪高砂や~」は神主が住吉に向かって船を漕ぎだす時の

言わばBGMだったのです。

 

クライマックスは、やはりそのストーリーの主役の舞。

「高砂」は松の精が、優雅に

その後の別ストーリー「雷電」では菅丞相の化身・雷電が、激しく

舞台全体を使って舞います。

ところで、能の舞台ってご存知ですか?

そういう私もニワカなのですが、だいたいこんな感じ(↓)。



正面に「舞台」があり、

おそらく後(のち)に歌舞伎の花道に進化して行くんだろうなと思わせる「橋掛り」と、

演者以外の小道具係や音楽、地謡の人たちのスペースがあります。

 

「地謡」というのが独特で、8人もいて「ようけいてはる」と思いましたが、

彼らの謡いは、事細かに状況や裏事情を語るナレーションでもあるので

大切な役割を果たしていました。

 

もうひとつ。

狂言師が登場します、ストーリーの中に。

彼らの役割は、メインキャストの衣装替え、
「高砂」では、じじばばが先に行っとくね、と言って退場し、

松の精の姿になって再登場するまでの繋ぎの時間に登場しました。

 

阿蘇の神主は、じじばばに「ワタシは松の精なのです」と告白された後、

ホントかな?と疑い、人に訊ねる、というシーンがあります。

その「人」を狂言師が担うのです。

 刑事ドラマでいうと、聞き込みのシーンで有力な情報をくれる一般市民、

といったところでしょうか。

 

能の世界には、おそらく厳格に守り続けられて来たルールが

まだまだたくさんあるんだと思うのですが、

ストーリーを追いながら、周りの人たちの様子や動きを観察していると

なかなか面白いものがありました。

(嫌な客です、ごめんなさい)

 

高校生の授業で見に行ったときのワタシは、

そこに気付けず、ひたすら寝てしまいましたが、

「能は、眠い!」という印象が無くなったのは収穫です。

 

台本を資料として配っていただいたので

それを読みながらだったので、地謡も台詞もほぼほぼ理解できましたし。
いい経験をさせていただきました。


▲登場人物の台詞と、地謡の歌詞がすべて書かれている資料。
 下段は現代語で要約が書かれています。

昨日うかがったのはこちらの公演(↓)。
「照の会」という取り組みだそうです。
 

 

皆さんも、機会があったら、「能」。

ぜひ。