気が付けば12月!早い!そして寒い!


先月も狂ったように本を読んでいました。

精神が比較的安定している証拠なのですが、

本格的な冬到来と共にがたがたと心まで調子が落ちてきています。


なんとか持ちこたえたいですが、

波があるのが自然の摂理なのかもなあ…

とぼんやり考えたりして。


さてさて

11月に読んだ本は振り返ってみると意外とミステリー少なめ、

回し者かと思うほど町田そのこ作品多め(笑)。


あと、図書館で借りて読んだメンタルの教科書的な本が良かったので、手元に置いておきたくて買いました。




「渦中」にいる人でも読みやすいように書かれているので、心の救急箱として置いておきたい一冊です。


今年もあと1ヶ月、のらりくらりとなんとかやり過ごしましょう~。



11月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:5455
ナイス数:514

星を掬う (単行本)星を掬う (単行本)感想
母に「捨てられた」千鶴は早くに父親も病で亡くし、DV夫に搾取され、勤め先のパン工場の廃棄パンでなんとか生きていた。ラジオ番組へ投稿した母との思い出話が、母の今の娘、恵真の耳にとまり、再会へ。しかし母は若年性認知症を患っており…。もはや自身の一部と化した哀しみを消すことは可能なのだろうか。メリメリと剥がしたら失血死するだろう。結城は、そういうものは十代で整理しておけなどとのたまったが、そんな簡単なものではない。母と娘で「星を掬う」ラストに希望を見いだせたのがせめてもの救いだった。重いので元気な時にどうぞ。
読了日:11月30日 著者:

町田 そのこ



俺ではない炎上俺ではない炎上感想
ネットの炎上で殺人犯に仕立て上げられる話。こっっわー。(こんな変な日本語使ったら怒られちゃうんかな 笑)してやられたり。まんまとミスリードのお誘いに引っかかり、派手に騙されました。でも一回読んだだけでは理解できなかったので、分からなかったとこをもう一回飛ばし読みして、やっと満足しました。それにしても、初羽馬はそんなに責められるようなことしたのか?と思ってしまう。自分は悪くない、と誰もが思いながら生きているのでは。山縣泰介みたいなハラスメント満載人間は反省してもまた喉元過ぎたら色々やらかして熟年離婚しそう。
読了日:11月27日 著者:

浅倉 秋成



夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)感想
小さな水槽の中で、きれいな熱帯魚は快適に泳いでいる。でも、水が合わなかったり他の魚から除け者にされたり、狭い世界で生きていけない個体は必ずいる。だけど、苛められていた晴子は強い守護者であった祖母がいなくても孵化できた。恋人に何の前触れも、遺書さえも残さず自殺された沙世も、前を向けた。放浪癖のあるスイミーはその後どうなったのか。最終話はDV夫が胸糞すぎたけど、晴子を温かく迎え入れた桜子にジーンとした。絶望と同じくらい希望もある、と町田さんはいつも教えてくれる。これからも追い続けたい作家さんの1人です。
読了日:11月26日 著者:

町田 そのこ



宙ごはん宙ごはん感想
私事ですが、その昔、色々積み重なってやせ細っていた時期が一時ありました。そんな時、「生きるは食べる、食べるは生きる、だよ。」と私の両肩をガッシとつかみ、他人なのに温かいご飯を作ってくれたり、お惣菜を分けてくれたりした友人を思い出して泣きました。(今は気軽に会えない距離にいるけれど、それでも彼女とは友だちです。そして今や私はふくふくと健やかに太っております。)宙も花野さんもみんな刻々と変わり、前に進んでいく。私もまだ成長できるのかな、成長したいな、と素直に思わされました。心洗われる一冊、読んで良かったです。
読了日:11月25日 著者:

町田 そのこ



小説の小説小説の小説感想
前書きから「この短編集はメタ・フィクションですよー(^_^)」という読者に対する優しさ…に見せかけた挑戦状が叩きつけられる。『叙述トリック短編集』を彷彿させるこの作家さんのこの手口、嫌いじゃないです。毎行毎頁、そう来たか!と驚かされたり、ニヤニヤが止まらなかったり(「文化が違う」は電車の中で読むのやめておいた方がいい)、かと思えば最終話「曰本最後の小説」では、日本の来し方行く末について本気で考えさせられたり。こんな自由な本を、自由に読んで、自由に感想を口に出来るということを、守っていかねば。
読了日:11月22日 著者:

似鳥 鶏



ラブカは静かに弓を持つラブカは静かに弓を持つ感想
チェロみたいな物語だった。人の声の音域に近く、耳によく馴染む。体に染み渡ってくる音楽を聞いているような感覚が心地よかった。中学生の頃、唯一の心の拠り所だったチェロ。その教室帰り、誘拐未遂に遭った橘は人との間に分厚い透明な壁を築くことで自分を守って生きてきた。そんな彼は勤務先の音楽著作権連盟から音楽教室にスパイとして潜入。身分を偽りレッスンを受け続けるうちに講師や仲間とうっかり仲良くなってしまい…「講師と生徒のあいだには、信頼があり、絆があり、固定された関係がある。それらは決して代替のきくものではないのだ」
読了日:11月21日 著者:

安壇 美緒



燃える息燃える息感想
依存症にまつわる短編集。呼ぶ骨:盗癖。盗みを働いてしまうときの、本人ではどうにもならない心の動きがすごくリアル。(おそらく綿密な取材に依るものなのだろうけど、当事者ですか?というくらい真に迫った描写でした!)燃える息:ガソリン依存。確かに匂い独特でクセになるよねー とは思うけど、それだけではない重い何かが嗜好を依存に変えてしまう恐ろしさ。ジューンブライド・バナナパフェ:ダイエット依存。これは彼氏にも責任がありすぎると思う。鈴木さんのこだわり:買い物依存、整形依存。親子の関係がこんな形で修復されていくなん→
読了日:11月18日 著者:

パリュス あや子



セルフケアの道具箱セルフケアの道具箱感想
精神医療の現場で行われている心理療法を、ひとりでできる範囲内でめっちゃ噛み砕いて説明してくれる本。認知行動療法やコーピング、マインドフルネスって言葉の響きはムズカシイけど、ほうほうこういうことなのね。日々のルーティーンに取り入れられそうなことも見つかって、ちょっとやってみようかな、と思えました。(スキーマ療法まで紹介されてるけど、これをひとりでやるのはリスキーだと私は思います…。コーピングをやっても、トラウマに飲み込まれそう。)図書館本だけど、買って手元に置いておきたいです。
読了日:11月16日 著者:

伊藤絵美



いつかの人質いつかの人質感想
12年前に誘拐(間違えて連れてきてしまった場合も法律的には誘拐に分類されるんですかね、やっぱり。そして一瞬目を離した母親が非難されるこの世の中。)された愛子は、視力を失う。そして再び、初めて親の介助無しで友だち(だとも思えないけど)と共に訪れたライブ会場で誘拐に遭う。犯人は、12年前の犯人の娘だと誰もが思ったが…、まさかのあの人が真犯人。礼遠の目的の為なら手段は選ばない感じ(アスペルガー?)が怖いような強いような。礼遠はネームが書けないからどうしても優奈が必要で、でもそれを抜きにして愛していたのも本当。
読了日:11月14日 著者:

芦沢 央



お探し物は図書室までお探し物は図書室まで感想
本を読むって、社会とつながることなのかも。私は定義的には「ひきこもり」に(多分)分類される人間だけれど、社会と分断されて寂しいとは感じていない。それは夫や少数精鋭の友だちに恵まれていることも大きいけれど、日々、物語やエッセイ、ハウツー本、雑誌、あれも読みたいこれも読みたい!が途切れることはなく、読むことで誰かと接点を知らず作っていることも理由の1つ、なのかな。素直に感動したり、こんな考え方もあるのか、とビックリしたり、本との出会いは発見の連続で、明日はどれを読もうか、悩む時間もまたたのしいのです。
読了日:11月13日 著者:

青山 美智子



葉っぱ切り絵コレクション いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界葉っぱ切り絵コレクション いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界感想
一読してまず単純に、すごいなー、細かいなー、葉っぱ一枚でここまで表現できるなんて、と感服。そしてもう一読、今度はじっくり味わって読む。一枚の葉っぱの中で密やかに紡がれる優しい世界。心が疲れた時に、お守りのような一冊。おすすめです。
読了日:11月12日 著者:

リト@葉っぱ切り絵



旅ごはん (MOE BOOKS)旅ごはん (MOE BOOKS)感想
飯テロ作家(勝手に命名しましたすみません。)の重鎮、小川糸さんによる旅先で出会った食のエッセイ。バルト三国、ドイツ、フランス、イタリア…出不精過ぎる私にとっては、疑似海外旅行を楽しむ気分。聞いたこともない名前の料理、異国の文化。(個人的には松ぼっくりの砂糖漬けの味が気になりすぎる。)小川糸さんの紡ぐ言葉には、食べ物や、作る人へのリスペクトが込められている。それらを育んできた歴史への深い慈しみを感じると共に、常に自分のふるさとへの郷愁の念やある種の業から逃れることができない諦念のようなものも感じる。
読了日:11月11日 著者:

小川 糸



今だけのあの子 (ミステリ・フロンティア)今だけのあの子 (ミステリ・フロンティア)感想
イヤミスっぽく始まるけど、温かな気持ちで読み終われる、「理由」に纏わる5つの短編。仲良しグループで1人だけ結婚式に呼ばれなかった理由。亡くなった親友の部屋から帰らない理由。子どもが絵を無くした訳を答えなかった理由。友だちの好きなことに自分を合わせているうちに…(この話だけダークな後味)。仲が良かった義母が手土産を食べてくれなかった理由。女の友情って、短くて気まぐれで期間限定で終わることも確かに多いけど、良い雰囲気で終わる話が多いのに、「今だけのあの子」というタイトルの突き放した感じが絶妙にシニカルで良き。
読了日:11月09日 著者:

芦沢 央



事件は終わった事件は終わった感想
まだ頭がグルグルしている。人間には想像力という強い武器がある。でも、使い方を間違えると、自分や他人を傷つけてしまう。想像力は両刃の剣だ。そのことを忘れないように、と自分に釘を刺した。地下鉄で起きた刺殺事件のその後を描いた連作短編集。犯人から妊婦をかばって犠牲になった老人は本当に「英雄」だったのか。事件のトラウマに苦しむひとたち。正義感からやったことが逆に他人を傷つけてしまう。その逆のことだってある。自分を苦しめているのは自分。そのことに気がつけるかどうかも自分次第。似鳥の描いた壁画を見てみたい、と思った。
読了日:11月08日 著者:

降田 天



【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】元彼の遺言状 (『このミス』大賞シリーズ)【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】元彼の遺言状 (『このミス』大賞シリーズ)感想
特濃キャラとぶっとび設定の傑作リーガル(?)ミステリー。お金大好き弁護士の主人公麗子(こういう人嫌いじゃない(笑)、元彼(3ヶ月だけかよ)の遺産を獲得すべく、元彼の友人を殺人犯に仕立て上げようと奔走。カネカネって言うけど、人間はカネ以上に大事なものがある。そして、他人に決して土足で踏み込まれたくない領域も、絶対に守りたいものも。突っ込み所はあるものの、色んな謎、伏線を綺麗に回収、オチもお見事。ミステリー云々置いておいて、エンタメ小説としてもハナマルでした。タイトルの湿っぽさでちょっと損をしているような。
読了日:11月07日 著者:

新川 帆立



赤と青とエスキース赤と青とエスキース感想
鮮やかな赤と青が目に浮かぶような物語。大事な人に素直になれない。ついつい虚勢を張ってしまう。自分の進む道がこのままでいいのか、悩んで迷って修正して。でも、そんな時もそばに居てくれる人が居るのは、奇跡。だけどそれは運が良かったからじゃない。がんばってがんばって生きてきた証。赤と青で描かれたエスキースはその象徴のようでもある。話題作家の話題作ということで、期待して読んだけど、うーーん。綺麗にまとまりすぎていて、起伏が少ないのが残念だった。うーん。淡々とした感じが逆に良いとも言えるのか。うーん。
読了日:11月05日 著者:

青山 美智子



52ヘルツのクジラたち (単行本)52ヘルツのクジラたち (単行本)感想
読み終わって、ほのかな希望を感じた。それと同時にどうしようもない絶望も感じた。貴瑚はアンさんに虐待から救い出され、美晴、美音子という友人の支えもある、という温かい世界に辿り着き、社会に出ることができたけれど、現実ではこんなにうまくいかないことも沢山あるだろう。そして過去のトラウマが完全に消えることはないし、他人との関わり方や距離感がどこか歪になってしまい、新名のような人間との関係を自分で断ち切れない。52ヘルツのクジラたちが、自分を受け入れてくれる群を見つける前に息絶えてしまいませんように、と心から祈る。
読了日:11月04日 著者:

町田 そのこ



兇人邸の殺人兇人邸の殺人感想
シリーズ三作目は廃墟をウリにした遊園地の中にある、元アトラクションの異様な館を舞台とするクローズドサークル。今作は比留子嬢がうろちょろせずに、葉村が大活躍(右往左往とも言う)。期待を裏切らず面白かったけど読むのにエネルギー消耗した。そして、最初の間取り図に常に指を引っ掛けて読まないと、話に着いていけなかったー(泣)。このシリーズは、斑目機関をめぐるホラーとして楽しむのが良いのかもしれない。(ていうか、完結するのかしら?)(あと、最後、完全に忘れ去ったキャラが登場して『誰?』ってなったの私だけじゃないはず)
読了日:11月02日 著者:

今村 昌弘



コンビニ兄弟2 (新潮文庫)コンビニ兄弟2 (新潮文庫)感想
二巻から読む人はまずいないと思うけど、一巻から読むことを全力でお勧めします!フェロモン店長が跋扈する優しいコンビニ、「テンダネス」を舞台に、「他人を尊重する、自分を大事にする」ことの人生における重要さが切実に描かれている。と書くと重そうだけど、前作同様、明るい筆致と渋滞する濃いキャラたちのおかげで柔らかく読めます。美月が自分の過ちを認められたこと、それを一緒に乗り越えようと言ってくれる人が現れたことに心底、安堵した。エピローグが非常に不穏な感じだったけど、三巻もほっこり&涙できることを期待してます。
読了日:11月01日 著者:町田 そのこ

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