亡くなる前日でした。
その日は病院からご家族の皆さん呼んで下さいと言われ、父の所へ行っていました。
交代でお昼をしようと言う事になり、母は父の兄弟達と食事に行きました。

病室には私と主人と息子と弟がいました。
他愛もない話しをしました。
「ラグビー勝ったよ」
「阪神も勝ったよ」
「メダカにちゃんとエサあげてるよ」
「今、兄も病院向かってるからね」
と本当に色々な話しをしました。
返事はしてくれないですが、手を動かしたりたまにうなずいたり反応はしてくれていました。

父と目が合いました。
「よー頑張ってるな」
「しんどいよなー」
口にしてしまうと最後になってしまうのが嫌で口には出せませんでしたが
「今まで本当にありがとう」
「父の娘で幸せやったよ」
「母の事はきちんと支えるからね」
という気持ちを手を握りながら心の中で伝えました。

すると、父の左目から涙が流れました。

タイミング良く出た涙だったのかもしれないし私の勝手な解釈でしかないのですが…
父もきっと何か伝えたかったのだと思います。
こんなに早く病状が悪化するとは思ってもなかったはずです。
やっておかないといけない事もほぼ出来ないままでした。
心残りはいっぱいあるだろうし。


父の涙を見たのは私の結婚式以来でした。
悔し涙を見たのは初めてです。

あの光景は一生忘れないです。
父と私の最後の思い出になりました。