12月21日。終業後、帰宅して旅支度に許された時間は30分。前日に準備などしない。小学生じゃあるまいし。

まず、最初の10分で、前日までの大掃除で出たゴミを集積所に出す。次の10分で、何もかもをバッグに詰め込む。持っていくものを吟味している暇などない。3泊4日ではとても読み切れない量の本も一緒に連れて行くため、鞄が1つ増えてしまった。そうした自分の愚かしさを抱きしめるのもまた、旅の楽しみの一つだ。最後の10分は、一度詰めた中身を引っ張り出し、あれは入っているか、これはどうかなどとかき回す。

2130、東京駅着。





八重洲北口キッチンストリートの「新橋鶏繁どんぶり子」で「特製鶏煮込みラーメン」を食す。この店を訪れるのは、数年前、結婚式に出席するため秋田への夜行バスで旅立つ友人を見送りに来て以来だ。





東京駅には前日の開業100周年記念Suica発売に際してのあの熱気と狂気はもはやなく、これから旅路に就く人びとが、それぞれの出発をただ淡々と待つばかりだ。




私もその中の一人。夜行バスと「青春18きっぷ」で鈍行を乗り継ぐ、私にとってはいつもの旅だ。




観光的には無名の地で、私だけしか見つけることのできない魅力を見つけられればと思っている。