世の中には「出来る人」と「出来ない人」がいる。

 

例えば、離婚。

私の場合は、経済的な後ろ盾もなにも無かったけれど、

当時の夫に尊敬も愛も消え失せてしまってからは、一つ屋根の下に暮らす

ことさえ苦痛だった。

もちろん、夫婦の営みなんて、もってのほか。

受け入れない私に苛立つ夫。

夫が物にあたろうが、殴られようが私は夫婦の営みを拒否をした。

子供にとって両親が揃っていれば幸せか?

それは、どんな状況でもそうなのか?

罵り合い、いがみ合う姿であっても父親と母親が居たほうが良いのか?

私の答えは「no」だった。

離婚をしてからの私は、仕事一筋で頑張った。

子供を国立大学に進学させ、管理職になり、念願もマイホームも建てた。

 

友人の洋子は、私とは違う。

働きに出ることも許されず、従属物のように扱われている。

洋子の夫は「男の甲斐性」とばかりに、外に女を作る。

義理の父母は息子を責めずに嫁である洋子を責めた。

離婚したい、と洋子は言うけれど、その準備にはかからない。

仕事も探さない、探すつもりもない。

そして、自分を裏切り続けた夫でも求められれば受け入れる。

泣きながらでも受け入れる。

「子供が成人するまでは・・・」が口癖だったけれど、あれから10年。

洋子は 多分 離婚は選ばない。

 

 

「不倫」もきっと同じで、「出来る人」と「出来ない人」がいる。

武さんは・・・きっと不倫の常習者だ。

 

初めて彼の単身赴任のマンションに行った日の違和感。

寝室にはダブルサイズのマットレス。

 

決定的だったのが、浴室の排水溝に絡まる茶色の長い髪の毛。

 

武さんに聞くと、以前の勤務地の部下が泊まりに来ただけだ、と言う。

私的に、男と女が一晩を明かすのに「何も無い」は無いと思っている。

それでも武さんは「彼氏の子供を妊娠しているかもしれないと言う女を抱けないよ」と

関係を否定した。

 

バカみたいだ。

妊娠しているかもしれない女が、数百キロ離れた元上司をのこのこ訪ねてくる?

おいしい牡蠣が食べたい、そんな理由だけで。

宿代浮かせたい、そんな理由だけで 泊めたりする?

そんな話を信じるほど、私はお人よしでも世間知らずでも無い。

 

武さんが「不倫が出来てしまう人」だってことは最初からわかっていた。

わかっていたのに、この有様。

私は悲しいほど愚かで 浅はかな女だ。

 

武さんにとって、私は都合の良い女でしかない。

武さんの「愛してる」を信じることは出来ない。

けれど、自分の中でこの関係を解消するのに まだ納得が出来ていない。

 

武さんが居なくなった辛さと 一緒に居続ける辛さを天秤にかけている。

一緒に居続ける辛さが大きくなれば、きっと終わりに出来る。

 

この3連休、武さんは東京の自宅に戻っている。

私は独り、これまでの記憶をたどりながら

見ないようにしてきた 武さんの悪い男シグナルを拾い集めている。