「ところで・・・ひとつだけ聞いておきたいことがあるのですが」
修道女が報告に来た兵士の一人にそう尋ね始めた。
「なんか見たことのない顔でしたので、どの隊に所属しているのは言ってもらえないでしょうか?」
「待て、見たことないも何も、一般兵の顔を全部憶えてるってのか?」
「憶えてませんし覚える気もないですが、とりあえず聞いてみました」
小声での問いに彼女は小声で答えたものの、それ聞く意味あるのか?
「ところで・・・ひとつだけ聞いておきたいことがあるのですが」
修道女が報告に来た兵士の一人にそう尋ね始めた。
「なんか見たことのない顔でしたので、どの隊に所属しているのは言ってもらえないでしょうか?」
「待て、見たことないも何も、一般兵の顔を全部憶えてるってのか?」
「憶えてませんし覚える気もないですが、とりあえず聞いてみました」
小声での問いに彼女は小声で答えたものの、それ聞く意味あるのか?
「そりゃ、あんなものが暴れていたら混乱もしますよ」
別の兵士が横からそんな意見を言ってきた。
「なるほど・・・戦場を好き勝手掻き回すから『暴君』って呼ばれてたのか」
修道女がなにやら納得するようなことを呟いてる。
「私も暴れたい」
「お前の発言はド直球すぎるな」
お姫様は相変わらずだった。
「で、今の戦況はどんな感じ?」
修道女がこっちにやってきた兵士にそう話しかけていた。
「混乱している・・・としか言えないですよ、敵も味方も」
「ダメじゃんか。それ絶対ダメなやつじゃんか」
つまり、現状の最前線はうちの迷宮の奴らのせいで訳分からない状況に持ち込まれたってことか。
・・・やっぱりダメなんじゃないか。
「まぁ、我が姉は基本的に面白そうなことなら大体やるからな、どうせメイドもそういう感じなんじゃろ」
「姉妹揃って自由すぎるだろ」
なんというか、今、戦争してるんだよな?
「どうでもいいけどさ、おやつ終わってなんでここに来たの?」
「お祭り騒ぎは大好きです」
今、本当に戦争してるんだよな?
「いやー・・・なんか凄いことになってるねー」
そう言いながらスズナが現れた。
「お前がここに来るってことは・・・もうおやつの時間も終わったのか」
「終わったよー。でも、なんでメイドさん一人だけお城に残ってるの?」
「あれが本当の最終防衛線じゃからじゃろ。言っておくが、我が姉が本気になったらこの街ぐらいなら余裕で消し飛ぶぞ」
なんでそんな核兵器みたいなのが普通にメイドをしてるのか、凄い疑問が出てきたな。
「そりゃ、死なないまでも痛みはダイレクトに襲い掛かってくるんだから、恐怖だって沸くよね」
お姫様が完全に他人事のつもりでそう言ってる。
「そういや、このお姫様が暴れても死者は出てなかったな。あれもそういう感じなのか」
「そうなんですけど・・・まず、負傷者を出している時点で一国の姫としてはアレな気はします」
「本音駄々漏れしてない?」
どっちかというと愚痴じゃないか?
「そりゃ、魔王産業が普遍化して精神干渉する武器が量産されるようになってから、戦死者が大量に出るような戦争は起こってませんからね。たまに衰弱死が確認される程度ですよ」
平和なのか物騒なのか。
「ちょっと待て、それじゃ帝国が十年も沈黙してたの、戦力的なことじゃないのか?」
「いえ、戦力的なことですよ。あれを見れば、戦場に居た兵達が恐怖で戦場に出ることすらできなくなる理由は分かるでしょう」
トラウマを量産してやがるのか。
「それにしても・・・十年前に帝国軍が甚大なダメージを受けたという話、いざ目の前でやられると少し引きますね」
修道女が戦場を見ながらそう呟いていた。
「ところで、さっきから気になってたんだが・・・あの戦場を行ったり来たりしてる小さなやつって・・・」
「ハコビタイですね。戦闘不能者を戦場から運び出してるのでしょう」
「・・・これ、ひょっとして戦死者出てなくないか?」
あのデカいモンスターも、物理的にダメージは与えてこないしな。
「なかなか楽しいことになっているな」
「なに意味ありげに登場してんだよ、お前は」
ここに来てヲタ勇者がそう言いながらやってきたので、俺はそう言い返すだけで済ませた。
「いや、そこは勇者の勘というやつで、人間同士の戦争に興味はないがなんとなく引き寄せられたのだ」
「良かったな、盾が増えたぞ」
「弾除けみたいに扱うのは止めてくれたまえ」
はっきり言って邪魔になる可能性があるからな、こいつは。
そんなこんなでデカいモンスターが現れたことで、戦場はなかなかに賑やかになっていた。
「・・・もうさ、俺らがここにいる意味、無くないか?」
「いえ、一応は戦争ですので、最終防衛線の維持は必要なはずですので」
「別に維持する必要ないよね?」
「姫様は単に前線に突撃したいだけですよね?」
俺たちは暇になっていた。