「とりあえず、この子のことは忘れないであげてくれませんかね?」
氷の魔王が氷の中に閉じ込められたプリムを指しながらそう言ってきた。
「なんで凍ってるの?」
「いや、さすがに死体はこうして保存しないと腐敗する一方ですから」
・・・そういや、死んでたな。
「はっはっはっ! ここに魔王がいると聞いて、我が帝国が誇る魔王の中の魔王、大魔王様が攻め込んできてやったぞ!」
なんか唐突に空気読めない感がリミットオーバーかましてる、黒いマント付けた奴が現れたな。
「とりあえず、この子のことは忘れないであげてくれませんかね?」
氷の魔王が氷の中に閉じ込められたプリムを指しながらそう言ってきた。
「なんで凍ってるの?」
「いや、さすがに死体はこうして保存しないと腐敗する一方ですから」
・・・そういや、死んでたな。
「はっはっはっ! ここに魔王がいると聞いて、我が帝国が誇る魔王の中の魔王、大魔王様が攻め込んできてやったぞ!」
なんか唐突に空気読めない感がリミットオーバーかましてる、黒いマント付けた奴が現れたな。
「そういや忘れかけてたけど・・・戦争、まだ続いてるんだな」
おたまじゃくしを解体しているところから視線をずらすと、いまだに大勢が戦っている戦場が見えていた。
「あー・・・もうどうでもいいんじゃないかな?」
「そうじゃな。どの道、人間の争い事など興味ないしな」
「一応、あの帝国の軍勢もこの街の脅威であることに変わりはないのですが・・・」
そう聞いてもどうでもよくなってるのは、容赦なく緊張感とかを削いでいくこの世界が悪い。
結果、スズナと幼女にぼこられつつ、なぜか乱入したヲタ勇者によってトドメを刺された感じになったわけだが。
「それで、これ食べれる?」
「焼けばひょっとするんじゃないかの?」
「・・・これ、なんで食べるという発想にいたるんですか?」
氷の魔王の疑問に、俺はさすがに答えを導き出せなかった。
「だいたいだな、破壊神たる我が力を当然のように止めるのはいかがなものかと思うぞ」
「お前、ここにきて元々無かった威厳が完全に吹き消えたな」
見た目のせいで威厳も何もあったものではないが。
「まあいい、今回はこれくらいにして、我は退かせてもらぐはぁ!」
「そろそろ飽きたから、これ捌いていい?」
「捌くのは構わんが、間違いなく不味いじゃろうな」
スズナが平然とおたまじゃくしに剣を突きたてているくらい、誰一人空気を読まなくなってきた。
「よし分かった、ここは話し合おう」
「破壊神が話し合いて・・・」
おたまじゃくしの言葉を聞いて、俺はそう呟いていた。
「考えてもみろ、貴様は魔王、我は破壊神・・・つまり、我らは手を組むことぐはぁ!」
「何をふざけたことを抜かしとるんじゃ。お主は破壊する以外に能がないじゃろ。こっちはまがりなりにも王じゃぞ、支配するものをお主なんぞと同類にするでないわ」
おたまじゃくしを蹴り続ける幼女、という滑稽な光景が展開されている。
そんな俺と氷の魔王の問答はともかく、二匹の水生生物が陸上で揉み合っている隙を突くかのように、幼女がおたまじゃくしに飛び掛っていた。
「我の存在を忘れてもらっては困るのじゃがな!」
「ふむ、ちっこいので視界に捉えるのがこんなぐはぁ!」
おたまじゃくしが何を言おうとしたのかはだいたい分かったし、幼女もそれを察したのかもの凄い勢いで蹴りを叩き込んでいた。
舌を絡みつかせたナマズと、それから抜け出そうともがくおたまじゃくし。
「破壊神おたまじゃくしVS大地の王ナマズ」
「ナマズではなく、せめてビッグイーターと呼んであげた方が・・・両方敵に回ったら私たち全滅するわよ」
俺の呟きを聞いた氷の魔王がそうツッコミをいれてきた。
「貴様は、大地の王か!」
『ふむ、不味そうかと思えば、成長しそこなった魔神の末端ではないか』
知り合いなのか、このおたまじゃくしとナマズは。
「よもや貴様が人間に味方しようとは・・・」
『いや、お主が五月蝿いから叩き起こされただけじゃ。なら、二度寝するために騒ぎの元凶をどうにかするのは当たり前であろう』
目覚まし時計を止める気分で出てきたのか。
「甘いわ! とりあえず空に逃げれば二発目を撃つための時間稼ぎくらいできよう!」
おたまじゃくしはそう叫ぶとゆっくりと上に浮上していく・・・予定だったのだろう。
「うのわっ!」
そのおたまじゃくしに、何かが巻きついた。
『うーむ・・・ノリで巻きつけてみたが、不味そうじゃな』
手足の生えたナマズの舌がおたまじゃくしにからみついていた。そういや、こんな生物もいたな、この世界。
眩しい・・・本気で眩しかった真っ白な光景は時間が経つにつれてゆっくりと消えていき、
「嘘・・・だろ・・・」
俺の前には光っていないおたまじゃくしが、そんな声を漏らしつつ存在していた。
「予想以上じゃ、よくやったぞ!」
そして俺の後ろからそんな声が聞こえてきて、直後に幼女が俺の横を駆け抜けていった。