大掃除しなきゃ…年賀状は…まぁ元旦でも最悪良いかな…

 

「幸せのちから」(2006)

 

・クリス

骨密度測定器のセールスマン。レントゲン+α程度でしかないこの骨密度測定器はほぼ売れず、販売のエリア独占権ごと買い取ったクソ高い「革新的な機械」の在庫の山を抱えて日々のローンにも苦しむ毎日。なんなら税金も滞納してる。

ルービックキューブが得意だったことで人生が変わるきっかけになった。

ディーン社の面接は、留置所からペンキまみれの格好で参加。

 

・クリストファー

クリスの一人息子で、親が働いている間はゴチャゴチャしたチャイナタウンのまぁまぁ劣悪な託児所に預けられている。

キャプテンアメリカのソフビ人形?が宝物の5歳児。

 

・リンダ

クリスの妻。

金がなければ隙間風もそりゃそうだろうなっていう夫婦。ガードナー家の財政はほぼリンダのパートの給料で辛うじてなんとかなってる。

全く稼げない夫に愛想を尽かして子供と一緒に出ていくつもりが、クリスが断固手放さず、最終的には一人で出ていった。

 

・トゥイッスル

ディーン社の人事のお偉いさん。

自分を売り込みに来たクリスに(そんなのが沢山いるんだろうな)あんまり興味なかったけど、タクシーに乗り合わせる間にルービックキューブ完成させたので興味を持った。

 

・フローム

ディーン社のお偉いさん。

クリスに借りた5ドルはちゃんと返してくれる。

研修最終日、面接時とは打って変わって良いシャツを着てきたクリスに、明日も良いのを着てきてね、君の初日だから、とかなんとかアメリカぽい気の利いた採用通達。

 

・骨密度測定器

レントゲンに毛が生えた程度の高い機械で、医者にもあまり興味を示してもらえない。

ヒッピーとかホームレスに盗まれたけど、何とかクリスが取り返した。

何年もかかったけどこの度何とか完売。滞納した税金とか支払えた。

タイムマシンの類ではない。

 

・真っ赤なフェラーリ乗りの紳士

株の仲買人は学歴がなくともリッチになれるとクリスに天啓を与えた。

 

 

クリスとクリストファーがリアル親子なだけあって、余計にこう、一心に父親を頼みについてくる息子の健気さが胸を打つところもあったなぁと。

 

近現代が舞台で実話をもとにしたってのがまず、すごいです。日本だと立身出世で有名な人物って言ったら、秀吉・家康なんて日本を支配するレベルから、中部だと御木本幸吉さんとかすごい企業の礎を築き上げた人とか探せば何人もいるものですけど、地べた這いつくばって来たところから飛びぬけて富貴の身になったっていうとあんまり思いつかないところ。もはや歴史すぎて自分には全く縁がないイメージ。

一方で、このガードナー氏みたいにろくな学歴もなく、一時子連れでホームレスにまでなってた人間が証券会社でエリートに交じって働いて、しまいには会社まで興して裕福な人物としても有名になるって、アメリカン・ドリームってこういうのかぁ。

今のポジションからでも努力次第でここまで勝ち上がれるって実際の人物が同時代に居ると、なるほど頑張ろう成り上ががろうってメンタルになっていくのも分かる。

こういう系の話あるあるで、モデルになった人物がラストにさりげなく出てくるのも良い。実在のガードナー氏、立派な体格の紳士なんですね。

 

黒人の低所得層だっていうので余計にステータスが下方修正されがちなのでしょうけど、アメリカでもどこでも、母子・父子家庭がハードモードすぎて居たたまれない。

無理やり別れた妻から引き取った幼稚園児を連れて、お金が無くなってアパートも追い出され、教会の保護シェルター暮らしはまだしも、ホームレスせざるをえなくて時には駅のトイレで寝泊まりした時の父親の、辛くやるせなくみじめだけど息子を決して投げ出さない決意、どうにもならない八方塞がりな現状やら追い詰められる気持ちを考えると、なんかもう身につまされて、本筋と違うところで妙な共感して泣きそうになった。

 

アメリカって税金滞納して家賃を滞納してそのままうっかり家を失うと即ホームレス一直線なんですね。そりゃ家を失ったらホームレスですけど、何があってもともすると直滑降で教会に並ばなきゃその日すら越せないってのが痛ましいなと。

日本でぬくぬくと、まぁ正社員で定職にも付いてるし、僅かばかり貯蓄やら両親の持ち家の実家もあるから、失職したその日にアパート引き払っても転がり込む場所もあるしホームレスって事には流石にならんだろう自分の立場が恵まれてたんだなと気付かされた気がします。

 

正直クリストファー君自身の福祉の為には、里子に出すとか、そもそも無給の研修生してる父親の許じゃなくて義兄弟のレストランで働けることになった母親に引き取られた方が、トイレで寝泊まりもするホームレス生活よりはもうちょっといい暮らしをさせてあげられるかもしれないこと考えると、客観的には息子に執着して手放さず、自分が子供の頃味わった親に捨てられるような経験はさせないっていうのもまぁクリスのエゴではあるんだけど、それでも息子の存在がどん底でも歯を食いしばって生き抜いた原動力そのものになったんだからなんとも言い難い感じ。

クリストファーが居なきゃ、この父ちゃんどこかで野垂れ死んだり、なんか悪いほうにあきらめて流れたり、少なくとも良い就職するぞ!と上向きのモチベーションは保てていなかっただろうな。

 

本採用告げられて、あくまでも何でもないようにうなずくけど、口元をキュッとして目を赤くして涙目になってるのが、すごくこう…良かったなぁ…!!!って。

 

くたびれてる時に見ると、辛いシーンでも嬉しいシーンでも涙目になって、年とったなァと実感させられます。