ほんとはワンス・アポン・…でレオ様拝んで来る筈だったんですけれども、公開直後の土曜の良い感じの時間はもう席いっぱいで…。

こちらもけっこうな人気作みたいで、席も僅かだけ開いてました。

 

俳優さんの番宣観るまでこの映画の存在知らなかったけれど、ググったらちょこっと史実をかじって寄せたいい感じの侍映画でちょっと好みだったのと、ミッチーが出てるので行ってきました。

参勤交代と同じ作家の脚本ならまぁライトな時代劇よりのアレで、見てもまぁ損なさそう。

実際あのテイストだったので、あぁいうコメディが好きなら大いにアリですこの映画。

弩・シリアスで硬派な時代劇をお好きな方にはちょっとお勧めできないけれどね。

 

「引っ越し大名!」(2019)

 

・片桐春之介(歌手って認識で良いのかしら、逃げ恥の人)

書庫に引きこもってたかたつむり。いい大人が月代剃らなくて良いの?散切り頭にちょんまげが乗ってるだけの不思議なヘアスタイル。

幼馴染のいらん推挙のせいで、腹を切るか、やるかの地獄の二択をいきなり詰め寄られた挙句、死にそうな声で引っ越し奉行に就任。

片桐家のお祝い事は、春之介のお食い初め以来と言うから…まぁ…人には向き不向きもあるからね…。

嫁のサポートもあってその後度重なる国替えでも器量を発揮して、最終的には家老にまでなっちゃった、実はすごい人。

律儀でこまめな気遣いができるので、源右衛門の推挙も全く的外れで無かった模様。

 

・はる

春之介ママン。

奉行就任をものすごく喜ぶやさしい母上。

夫に先立たれ、一人息子は役も無い書庫番で何人扶持か知らんけどもまぁそこまで裕福ではないだろうに、精一杯豪華なお祝いして大喜び。お食い初め以来ってそんなふわっと辛辣な事…をこれまで一度も母を喜ばせたことが無いなんて源右衛門が超わかりやすく解説してくれちゃってまぁ。

良い母上に育てられたから、なんやかんや人に囲まれるよい子に育ったんだと思いますよ。無能の尻蹴ってもどうにもならないから、そこは素質もあったのだろうし。

孫が元服する前に亡くなったよう。

 

・高村源右衛門(磔になってた高橋さん)

かたつむりの幼馴染。ヒョロっとしてるのに超体育会系で超さっぱりしてて気持ちの良い血気盛んな脳筋ヒャッハー。

お蘭さんに声を掛けても全く相手にされなかったらしい面白い人。

情に厚く泣き顔がとても汚い。

御手杵いいなぁいいなぁ言ってたけど、殿のご意向で使わせてもらえてほんと役得。良かったね!

御手杵構えて走って来る様は何かこう、絶対殺すマンな感じがして見切れてても怖いし面白い。

 

・お蘭(梅酒とかかんぽCMの歌が上手い子)

下士の父親は引っ越しが上手かったけれど、使い潰されたので上士に良い気持ちを抱いていない、バツイチ。

腹が決まってからはその辺の男どもよりも強い指導力と行動力を発揮して、いい感じにかたつむりの尻を蹴りあげる女傑。

高級な焼き物使った円盤投げがとても上手い。

片桐家の妻女として無事転封先に同行。押しかけ女房感も否めないけど、相手がどうしようもなく奥手だししゃーない。あぁいう男性にはちゃきちゃきした奥さんがぴったりだし、おさまるところにおさまってよかったね。

 

・音松

離縁された母親と一緒に実家に戻った幼児。

江戸時代の武家だし、男児なら有無言わせず婚家に留め置かれそうだと思ったけどなんかまぁその辺は事情があったんでしょう。

母上にお皿をナイスパス。

母上と結婚した春之介の許で大嵐の日に無事に元服を済ませて、異父弟の成長を見守る兄貴に進化。

 

・中西監物(au金太郎)

勘定頭。勘定奉行のやりくちにイライラしてかたつむりをサポート。

若干情報は古い。けども協力すると決めたら最後まできちんとついて来てくれる良いやつ。

 

・本村三右衛門(UDI所長とかゴローちゃんとか)

威圧感の凄い家老。強いる時は脇差を懐紙に包んで手に持たせて来る。

相次ぐ国替えの最中、返り咲く直前にお亡くなりになったよう。

 

・佐島竜五郎(転落死したメディカルアーツの磯部さん、卓ちゃんの取り巻き外科医の佐々井せんせ)

勘定奉行。金に汚いわ、蓄財に勤しむわ、ついでにパワハラするわで人間的にはまぁまぁアレな人だけど、お役目に背いて云々って事は無いからまぁ本質的に悪い人ではない。

誰得入浴シーンまではただのヤな奴だったけど、蔵の宝物をぐうの音も出ないやり方で差し押さえられて売り飛ばされてからはコメディ要員化。

お皿投げないであげて(泣)

 

・藤原修蔵(湯長谷藩家老の相馬さん、黙れ小童!でお馴染み室賀殿)

実は内通者

柳沢吉保に取り立ててもらえる密約でもあったのか、その辺は死人に口なしでよく分からなかったけどまぁ些末な問題よね。

 

・松平直矩(神戸尊)

柳沢吉保の色目を物理で跳ね除けたら、ネチネチと嫌がらせの国替えを命じられ挙句暗殺されかかってた殿。好みじゃないなら仕方ない。

開幕早々小姓とキッスしそうになってたしやたら衆道なアッー!だわと思ってWikipedia見てみたら、「美少年めっちゃ好きだけどまぁこのくらいの事はね。聖人だって一つくらい欠点あるもんだけど殿様は一般人だし、まぁ。それに目に余るほどでもないから、大した害も無いっちゃない(意訳)」「当代の名君と世間は言ってるよ(意訳)」とか当時の文献に書かれてたらしくちょっと面白かった。

ねっちょり気味のアッー!なボディタッチと、家臣に感謝する男気ボディタッチとがひと目見て違いが伝わってくるので、劇中でも苦労に報いてくれるまっとうな殿様扱いされている様子。

参勤交代の方の湯長谷の殿様と同じく、まさかの実在人物。結城秀康のお孫さん!へー、血はまぁまぁの名門じゃん。実際に引っ越し大名呼ばわりされてたそうだから、だからこう言う侍映画って侮れない。

史実での国替え・左遷の原因は父方の従兄弟の家のお家騒動の連座みたいなもんだから、違う方向に理不尽でお気の毒。

 

・仲田小兵衛(橋本佐内とか、御武家さんいやどすwwの専伯さんとか)

国替えの原因を作ってたらしい殿に向かって一晩位なら尻差し出してれば…とか言っちゃう剛の物。留守居自ら姫路に飛んでくるって実際そこまでフットワーク軽いもんなのかはしらないけども。

 

・山里一郎太(沖田総司とか木曽義仲とか、クリマイスピンオフにもゲストで出てたっけ。)

妻子がいない者からリストラ対象になったって事は、弱弱しいカタツムリを一人の人間として尊重して、勉強熱心な山里さんも若くは無かったろうにまさかの独身だったのか。

一度は帰農するけど春之介が約束を果たした為正々堂々と侍としてカムバック。殿自ら労ってくれて本当良かったなぁ。

 

・北尾俊蔵(氷屋、春海ちゃん助けて巻き込まれた三沢3佐、オラフ)

老母抱えて部屋住みの身分なのでリストラ対象に。最終的には田畑に愛着もあって完全に帰農。

俳優さんがあれであぁしてあぁなったせいで、スタッフロールにこそ載ってるもののパンフレットその他媒体からは徹底的にログアウト。悲しい。個人的には性犯罪よりよっぽどマシだと思うけど、仕方無いわなぁ…代役立てて取り直しにならなかっただけ御の字。

 

・高橋四郎(UDIの坂本さん)

多分独身でリストラ対象に。死ぬ死ぬいう奴はまぁまぁ死なないってホントだわ。

最終的にはこちらも帰農。

 

・田中衆三郎(参勤交代でも忍びの頭をやってた)

御庭番?隠密?なんかニンジャの頭。

まぁまぁ強いけど、飛んできた皿を頭にもろにくらって昏倒。しゃーない。

頸動脈スパーっとやられてもいらんこと喋られる前に関係者を消してから事切れるのは忍びの鏡。

 

・柳沢吉保(ゲゲゲの女房の旦那だった筈)

最終的な柳沢吉保を史実から知ってると厄介な権力者のイメージだけど、この時点ではただの小納戸役。

出世がほぼ確実なコースに乗っているけどぶっちゃけそこまで偉くはないので、衆道相手に袖にされて涙にくれる気の毒なシーンを目撃されようが、直矩に迫った挙句拒絶されて柱で頭打って流血沙汰なんてヤバめの大恥かこうが、完全に私怨の報復人事を動かせるほど権力は無かったと思われ。

 

・御手杵

熊の毛のあの有名な鞘を付けてあんな感じなんだ~家宝だから参勤交代でめっちゃ大事にアピールされてたのは知ってたけど、実寸で見るとビジュアルのインパクト強くて面白い。ブン回した時のしなりと言い、朱槍っていいわぁ…。

殿の好意でお家の大ピンチに使用許可が出た。これぞ家宝って感じ。

…歴オタからしたら三名槍に限らず文献に出て来る刀剣やら甲冑ってロマンの塊なんだけれど、それだけに近代まで現存したのに戦争で焼けたってのがもう残念でならない。あぁぁぁあああ、アレとかコレとかもう、もう、もう!!もう!!!って感じ。

公式でも広報?されたようで?とうらぶオタの友達は歓喜してた。

どうだった?どうだった?って、映画の感想じゃなくて、映画の中の御手杵の扱いを聞かれてもマジでコメントに困る。

家宝だよ!頸動脈スパっとしてたよ!擬人化じゃなくて、普通に槍だよ!

 

 

映画としては謎のミュージカルってほどでもない歌唱シーンがまぁ、苦手な人はあんまりあれかな?ってくらいで後は可もなく不可もなくめでたしめでたしのハッピーエンドで、お子様連れでも安心してご覧いただけます(とても大事)。

話の構成自体も全く難しくないので、大衆娯楽向き。参勤交代の映画と同じく、題材の真新しさもあって無難に面白かったです。