8447☆重賞レース回顧〜京成杯オータムハンデ・セントウルステークス〜 | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.10

8447☆重賞レース回顧〜京成杯オータムハンデ・セントウルステークス〜

晴れ・良馬場で行われた、第69回「京成杯オータムハンデ」(GⅢ)は、1番人気のアスコリピチェーノが優勝。重賞3勝目を挙げた。2着に14番人気のタイムトゥヘヴンが入り波乱。3着3番人気サンライズロナウド。



[ハロンタイム]

12.2―10.9―11.1―11.4―11.7―11.4―11.2―10.9(1:30.8・良)


土曜日から超速タイム連発の中山芝だったが、日曜日の5R新馬戦(芝1600)では、1分32秒8のレコードタイム決着。芝1600の新馬戦(2、3歳)で1分32秒台が出たのはJRA史上初という。予想で触れた顕著な高速馬場が、実際に結果として表れた形だったが、中山競馬場の馬場造園課は「馬場の上は乾いた状態だが、路盤の下はしっかりと水分がある状態。馬場が掘れる感じはなく、推進力がついて速いタイムが出ているのではと推測している」(野津課長)とコメント。また「例年だと2万平方メートルほどの芝の張り替えだが、今年は春開催の傷みが大きかったこともあり、2万4000平方メートルほどの張り替えを行った」(同)という。しっかりと張り替えを行い、週中の雨もほとんどない絶好の状態が高速タイム連発の要因となった。


京成杯オータムハンデもレコードにコンマ5秒差の1分30秒8の高速決着。例年レベルだったら前が止まらない馬場でも、5ハロン通過が57秒3。ここまで速くなると逆に前が苦しくなり、掲示板の5頭のうちサンライズロナウドを除いた4頭が4角後方から末脚を伸ばした。

 勝ったアスコリピチェーノは、中団外ポジションから4角10番手。直線に向くと外から一気に加速して上がり2位(32秒7)の脚で抜け出しての快勝だった。3歳牝馬としては見込まれたハンデも何のその。上がり3ハロンは11秒4―11秒2―10秒9の加速ラップ。しかも、ラスト10秒9を差し切るのだから、結果的に今回のメンバーでは力が上だった。


タイムトゥヘヴンは、これまで6回の3着以内歴があったが、すべてが良馬場でのもの。馬場が向いたのもあったが、中山芝マイル重賞は、一昨年のダービー卿チャレンジトロフィー勝ちと3歳時のニュージーランドトロフィー2着があった。今年のダービー卿CTでも6着ながらも上がりは最速を記録。近2走が二桁着順続きだったので人気はなかったが、中山のマイル適性は高い馬だった。人気の盲点とは、このことだなという印象だ。


サンライズロナウドは、上位入着馬の中で唯一先行させて4角4番手からの3着は評価できる。後方から6着だった関屋記念から一転、先行させての馬券圏内は、横山典騎手らしい騎乗だった。


期待したディオは直線で前が壁。外に持ち出すも内と外から押圧されて行き場を失う不利が大きかった。スムーズだったらと悔やまれる。



晴れ・良馬場で行われた、第38回「セントウルステークス」(GⅡ)は、2番人気のトウシンマカオが勝って重賞4勝目。2着4番人気ママコチャ、3着7番人気モズメイメイ。1番人気のピューロマジックは13着に敗れた。



[ハロンタイム]

12.0―10.4―11.2―11.4―11.1―11.6(1:07.7・良)


ハナを切ったのはピューロマジック。想定通りではあったが掛かり気味。パドックでもテンションが高めだったので危うい逃げだったが、直線残り100で内ラチからモズメイメイが突っ込んできた時に外にヨレて鞍上も追うのをやめた。これがなくても外の勢いが勝っていたので着外だったと思うが、1番人気としての最低限の走り(3着以内)ができなかった。直線坂コースでは勝てないデータも継続してしまった。


トウシンマカオは中団外からの競馬。4角でも外を回して直線も馬場のいい外目から上がり2位タイの末脚で前をまとめて差し切った。休み明けでマイナス6kgと馬体は減っていたが締まっては見えず、先を見据えた仕上げ。これで勝つのだから馬の調子自体が良かったのだろう。次は馬体が増えても良くなるはずで、今回と同じような外枠だったら、GⅠでもやれそうなムードだ。


ママコチャはトウシンマカオ以上に余裕残しの馬体でプラス10kg。この状態で口を割りながら先行して直線で一旦は先頭に立つ走り。最後は勝ち馬の末脚に屈したが、スプリントGⅠ馬の力は示せた。斤量57kgでこの走りなら、56kgになるスプリンターズステークスは勝ち負けになるが、牝馬だけに昨年の中5週から中2週になるのが懸念材料になる。


モズメイメイは好スタートも、昨年の葵ステークスで見せたロケットスタートは影を潜めた。まあ、あのスタートは“異常”だったので比較は難しいが(笑)、少なくとも往年のダッシュ力は低下したとみるのが妥当。その代わりに控える競馬が板について、今回も道中3番手インからの競馬になった。直線は内ラチギリギリを突いて鞍上の国分恭騎手は過怠金10,000円を科せられたが、勝つにはあの進路しかなく、過怠金額からもそれほど重い処罰でもなかった。逆に狭いところに突っ込んだ馬の勝負根性は褒めるべきで、スプリンターズSでは今までとは違うGⅠでの走りをするかも知れない。


ダノンスコーピオンはスタートがイマイチで後方からの競馬。勝ち馬と同じ上がり2位タイの末脚を使うも、さすがに位置取りが後ろすぎた。初めての千二の競馬で流れに乗れなかった部分もあったが、速い上がりの脚を使えたのは収穫。次走のレース選択には注目したい。