8433☆重賞レース回顧〜キーンランドカップ・新潟2歳ステークス〜
晴れ・良馬場で行われた、第19回「キーンランドカップ」(GⅢ)は、2番人気のサトノレーヴが函館スプリントステークスに続く連勝。2着8番人気エイシンスポッター、3着7番人気オオバンブルマイ。1番人気のナムラクレアは5着に敗れた。
12.2―10.4―11.0―11.4―11.5―11.4(1:07.9・良)
札幌の芝1200は最初のコーナーまでが長いので、どの馬がハナを主張するのかが1つのポイントだったが、全馬ほぼ揃ったスタートから、前に出たのはエトヴプレとセッション。2頭とも前走で先手を取れなかった明確な理由があり、このあたりは予想通りだったが、セッションのティータン騎手は、エトヴプレではなく、サトノレーヴの出方をチラチラと何回も確認しながらの逃げ。騎手がどの馬をマークするのかがよくわかる映像となった。
3角手前でようやくセッションが先頭に立ちエトヴプレは2番手。サトノレーヴは好位4番手の中ポジション。鞍上のレーン騎手の手は動かず手応えも楽で直線入口から追い出すと、一気に前をとらえて抜け出す快勝だった。
この日の馬体重が16kg増の548kgで自己最高馬体重。明らかに次の大一番を見据えた馬体での勝利は強いのひと言であり、函館SSとキーンランドCの同一年制覇は、2011年カレンチャン以来13年ぶり。カレンチャンは、次走のスプリンターズステークスも勝ち、5連勝でGⅠを制した。サトノレーヴはスプリンターズSを勝つと4連勝での制覇となり、カレンチャンと似たような道を歩むことになる。
カレンチャンの場合は、函館SSでプラス10kgと太めにつくり、その馬体を維持してのGⅠ制覇だった。つまり、夏の反動(夏負け)がなかったということ。サトノレーヴの場合も中間の調整と本番の馬体重には要注目だ。
エイシンスポッターはスタートは決めたものの、内外の馬の出足が速く後方ポジションになったが、そこから少しだけ促して内から進出。中団まで位置を上げて一旦抑えてから、直線でサトノレーヴの後ろから伸びての2着。道中はナムラクレアの後ろにいて「強い馬の後ろはベストポジション」というが、道中と直線でその形になったのは、たまたまではなく、鞍上のモレイラ騎手の腕でもあったろう。エイシンスポッターは、先日に亡くなった角田大河騎手のお手馬だった。角田河騎手の目に見えない後押しがあったのでは?というSNS上でのつぶやきもあったが、亡くなり方は未だに憶測を呼んでおり、個人的にはちょっと賛同できない意見だ(苦笑)。
オオバンブルマイもスタートは決めたが、初めての千二の流れで二の脚がつかず最後方から。最内枠でもあったので、揉まれるよりは腹をくくって末脚に賭けたと想像できる。馬自身もプレッシャーを受けなかったのが良かったのか、4角で大外を回しながらも上がり最速33秒2の鬼脚で追い込んでハナ差3着。鞍上の武豊騎手は「この距離でもやれる。走るわ、この馬」とコメントしたが、この馬とのコンビでは、アーリントンカップ勝ちとNHKマイルカップ3着があり、既に結果も残しているのに更にこのアピール。さすがだなと思ったと同時に、名手でも営業コメントは必要なのだと思ったw。
期待したエトヴプレは、プラス14kgの馬体。成長分を差し引いても少し太かった。パドックからテンションが高く、元々から気合いが前に出る馬ではあるが、今回はテンションが上がりすぎていた。レースでも直線で後退、11着に終わったが、勝ち馬とは0秒8差。それほど負けていないので、状態次第でやれそうな印象は残した。
ナムラクレアの敗因は、内で詰まるというこの馬の負けパターン。鞍上の浜中騎手は「狭いところに入ってしまったのは私の判断ミス」と認めたが、基本的には内から外に出して能力全開の馬であり、道中も外が壁になりインを突くしかなかった。敗因は明確とはいえ、斤量55kgでこの結果だと、加齢によるピークアウトがそろそろかなという印象もある。本番のスプリンターズSは、枠と運に恵まれないとどうかなという私見になる。
曇り・良馬場で行われた、第44回「新潟2歳ステークス」(SⅢ)は、6番人気のトータルクラリティがデビュー2連勝で重賞初勝利。2着1番人気コートアリシアン、3着5番人気プロクレイア。
12.5―10.8―11.7―12.7―12.0―11.7―11.1―11.7(1:34.2・良)
スタートでコートアリシアンが出遅れ。前走ほどではなかったが、今回も外にヨレてしまった。出遅れをリカバリーするために脚も使っており、道中は折り合いを欠いて鞍上が必死に抑える姿が映像に映し出された。それでも中団から勝ち馬を上回る上がり最速(33秒9)の脚での2着で力を見せたと言えるが、折り合いを欠いてスタミナをロスした分、一旦は先頭に立つもトータルクラリティに差し返された。今後は、自分自身の内面との戦いになるが、懸念された馬体重も減っていたので、成長力も問われそうだ。
トータルクラリティは、スタートを決めて先行。3角手前でコートアリシアンが前に出ようとした時に外からブロックした。これが偶然なのか作戦だったのかは分からないが、展開面で有利に働いた。直線は内にヨレたが矯正以降は真っ直ぐに走っており、体幹力はありそうだが、この馬も気性面での成長が課題になりそうだ。
プロクレイアは2頭に3馬身離された3着。現時点では力の差を感じた。