8349☆GⅠレース回顧〜安田記念・浪漫勇士〜 | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.8

8349☆GⅠレース回顧〜安田記念・浪漫勇士〜

小雨・稍重馬場で行われた、第74回「安田記念」(GⅠ)は、1番人気のロマンチックウォリアーが優勝。2006年のブリッシュラック以来、18年ぶり史上4頭目の外国馬の勝利となった。2着4番人気ナミュール、3着2番人気ソウルラッシュ。




香港は、言わずと知れた競馬が盛んな地区のひとつだが、その原動力となっているのが、2018年に中国広東省の広州市・従化(ツォンファー)に開設されたトレーニングセンター(トレセン)。芝の坂路まで備えたトレセンは、競馬場としての設備を備えており、名称も従化競馬場となっている。そこで鍛え上げられた馬たちが香港の沙田(シャティン)競馬場に輸送されてレースを迎える。そんな香港競馬界から刺客としてやって来たロマンチックウォリアーが、異国の地である日本で強さを見せた。


[2024年 安田記念ハロンタイム]

12.1―11.0―11.4―11.9―12.0―11.3―11.2―11.4(1:32.2 稍重)


ロマンチックウォリアーは、好スタートから好位6番手の競馬。マイルの流れにも対応したが、前半3ハロンが34秒5で4ハロン46秒4のスロー寄りのペースが勝因のひとつだったように思う。ハイペースならどうなっていたかは分からないが、ペースと馬場がこの馬にはピッタリだった。

 道中は外にヴォイッジバブルがいたのも幸運だった。同じ香港馬同士でやり合うわけにもいかず、ヴォイッジバブルが丁度いいガード役になった形。直線はステラヴェローチェに外からブロックされながらの追い出しになったが、坂も問題なく突き進んで残り200で先頭に立つと、ナミュールの追い込みを半馬身差凌いでの勝利。この馬の持ち味である、抜かせない勝負根性を発揮して着差以上の強さだった。


鞍上のマクドナルド騎手は「とても快適にレースに入ったし、まさにチャンピオンホースです」とコメントしたが、それ以上にマクドナルド騎手が完璧な騎乗をした。彼こそが、まさにチャンピオンジョッキーだったと思う。

 ロマンチックウォリアーは、アゴ足つきの招待ではなく、自費参戦での勝利。それだけ本気で勝ちに来た、本気度が違ったと言えそうだ。


香港調教馬の勝利は、00年のフェアリーキングプローン、06年ブリッシュラックに次いで3頭目。優勝した外国馬の4頭中3頭が香港馬という事実は、欧米よりも輸送時間が短い香港の優位性を示すもので、それは香港で好成績を残している日本馬にも言えること。今後も日本競馬と香港競馬の関係は密になりそうだ。


ナミュールは、スタートで隣のドーブネに寄られる不利があった。これにより、ドーブネの外隣のロマンチックウォリアーは、何の不利もなくスタートを切り楽に好位を取ることができた。マクドナルド騎手が「とても快適にレースに入った」と言ったのはこのこと。もしも、ナミュールとロマンチックウォリアーの枠順が逆だったら、結果は違っていたかも知れない。

 出負けした分、少し出して行ったが、これは許容範囲だろう。中団後方寄りからスムーズに外に出して、直線外から上がり最速(32秒9)の末脚を発揮したが届かず。春秋古馬マイルGⅠ制覇はならなかった。それでも、前走から中2週で立て直してきた厩舎力はさすがだった。馬場もこなせたが、良馬場だったらと思うと悔しい敗戦だろう。


ソウルラッシュは、前哨戦は好走しても本番は勝てないキャラがそのまま出た印象。この馬向きの馬場とモレイラでも勝てなかったのは、東京コースとの相性の悪さも示した形だ。それでも末脚で見せ場を作ったのは評価できる。


3番人気のセリフォスは5着。左にモタレる馬なので、東京ではインから差してくることが多い馬が外枠を引いた時点で厳しかったが、今回も直線で内にモタレていた。後方ポジションだったので内を突くこともできず外を回す競馬で悪い面が重なってしまった印象だった。


予想は3連複を的中。10倍の単勝を逃したのは残念だったが、回収率は105.8%でプラス収支。夏競馬開幕に向けて、いい流れになっていると感じる。