8299☆皐月賞 | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.7

8299☆皐月賞

子供のジュニア期・後期(12〜14歳くらい)は、男子よりも女子の方が体格的にも体力的にも優れている場合が多く見られる。理由は、体やその機能にホルモン分泌の影響が出て男女差が現れるため。身長や神経の伝達速度が向上する時期が、男子よりも女子の方が2年ほど早く訪れると言われている。これが成長するにつれて男女差が逆転するのだが、競走馬の世界でも同様に、2歳から3歳春くらいまでは牡牝の差はあまりないが、それ以降になると徐々に牡馬と牝馬の差が出てくるのが普通だ。その主な理由が筋肉量なのはよく知られるところであり、そのために、牝馬は牡馬よりも2kg少ない斤量で走れる。

 今年の皐月賞は、牝馬のレガレイラが76年ぶりの優勝なるか?が大きな焦点だが、ホープフルステークスでは牡馬勢を一蹴して着差以上の強さを見せた。ただ、ホープフルSは2歳暮れのレース。約3か月半が経ち、牡馬との体力差が逆転している可能性はゼロではないだろう。加えて、過去10年どころか20年で勝ち馬が出ていない5枠。内外から揉まれやすい枠なのが理由のひとつだが、牝馬が76年間という日本人男性の平均寿命(81.05歳)に近い期間、勝てないことも考えると楽な競馬はさせてもらえないだろう。


【過去20年の枠順別成績】

1枠[3.2.2.32]勝率7.7% 連対率12.8% 複勝率17.9%

2枠[1.3.2.34]勝率2.5% 連対率10.0% 複勝率15.0%

3枠[2.1.2.35]勝率5.0% 連対率  7.5% 複勝率12.5%

4枠[3.3.3.31]勝率7.5% 連対率15.0% 複勝率22.5%

5枠[0.3.3.34]勝率0.0% 連対率  7.5% 複勝率15.0%

6枠[3.0.4.33]勝率7.5% 連対率  7.5% 複勝率17.5%

7枠[5.4.1.47]勝率8.8% 連対率15.8% 複勝率17.5%

8枠[3.4.3.47]勝率5.3% 連対率12.3% 複勝率17.5%


ルメールが落馬負傷で乗れなくなったのも痛い。今週になっても鞍上が決まらず(発表せず)、所属のサンデーレーシングから正式に発表になったのが、出馬投票当日の11日。サンデーRは乗り替わりをギリギリまで発表しない傾向とはいえ、騎手配置に相当迷ったことが窺える。前日オッズは単勝3.6倍の1番人気だが、荒れると言われる基準値の3倍をオーバー。ファンも迷っていることがわかる。


前日2番人気はジャスティンミラノで5.0倍。

 新馬→共同通信杯と連勝して、近年のスタンダードとなっているトライアルを使わずに、ぶっつけで挑むパターンだ。共同通信杯組は、過去10年で5勝、3着3回。今や王道路線となっており、スピードと持久力が求められる東京芝1800の厳しいレースを経験したことが糧となるのだろう。

 共同通信杯経由で勝った5頭は、2020年のジオグリフを除き、上がり3ハロンで1〜2位の脚を使っていた。ジオグリフも3位だったから、2位タイの末脚だったジャスティンミラノも好走可能だ。

 問題はペースで、5ハロン62秒7のドスローから上がり3ハロン11秒4―10秒9―10秒8の究極の瞬発力勝負になった点。62秒7は過去の5頭よりも遅く(最遅は14年イスラボニータの62秒2)、皐月賞とは真逆と言えるペースでの勝利であり、新馬戦は更に遅い5ハロン63秒1からの11秒4―10秒8―11秒3。ペースが上がってタフになる本番で対応できるかは未知数だ。ダービーなら本命級だったがどうだろう。


その共同通信杯で2着だったジャンタルマンタルは、序盤から折り合いを欠いて距離延長に苦労したようには見えたが、本来は長くいい脚を使う馬で流れが向かなかったと言える。好位から勝ち馬と同じ上がりの脚は使っており、さらなる距離延長に対応できれば、コース替わりでの逆転の可能性はあるだろう。人気落ちの今回は狙い目になるが、鞍上の川田騎手は「今回は本当にトライだと思っている」と、共同通信杯以上に距離不安を匂わす発言なのは気がかりだ。


3番人気はメイショウタバルで7.1倍。

 毎日杯は、逃げて上がり最速という後続勢がお手上げの走りでの勝利。重馬場を5ハロン59秒6で走って、勝ち時計1分46秒0も優秀でポテンシャルの高さを見せたが、最大の問題は中2週での競馬。中間はウッドで時計を出せていて、最終追いは栗東坂路で52秒6―11秒8。良い動きは見せており、動きだけなら疲れはないと判断可能だが、俗に言う「目に見えない疲れ」に関しては、走ってみなければわからない。逃げ・先行馬が揃って前走のような競馬ができるかどうかも不安材料だ。


4番人気はシンエンペラー、5番人気がジャンタルマンタルで、ここまでが単勝オッズ一桁台人気。

 シンエンペラーは勝ち切れない競馬が続いているが実績上位は明らか。ホープフルSでレガレイラと1kg差だった斤量が、今回2kg差になるのは不利だが、他馬との比較では引けはとらない。勝負どころでの反応が鈍い点が勝ち切れない理由なので、毎回乗り替わるのはGⅠにおいてもマイナスだが、鞍上の坂井瑠騎手は普段から調教には乗っており、全くのテン乗りではないのはいい。弥生賞は矢作調教師が「勝った馬に馬場が向いた」と、レコード決着だった馬場が合わなかったとコメント。それでも2着を確保したのは評価でき、時計がかかる今の中山が合うのは明らかなので「(弥生賞は)先を見据えた仕上げで次は上積みしかない」(矢作調教師)というコメントも合わせて勝ち負けになりそうだ。


上位人気以外では、コスモキュランダとアーバンシック。

 コスモキュランダの鞍上のモレイラは、土曜日のアーリントンカップを勝ち、重賞騎乗機会3連勝と勢いが止まらない。さすがのマジックマンだが、ここを勝てば今年GⅠ・2勝となり、来年も短期免許を申請できる。本人の意欲も相当だと言われているので、やはり注目馬の1頭になる。

 弥生賞からの上積みも可能だが、荒れ馬場でレコード勝ちの反動は懸念材料。出遅れ癖があり、GⅠでの出遅れは致命傷になりかねず、モレイラだから抑える感覚でいいだろう。


アーバンシックは、京成杯での上がり最速33秒9の末脚が光る。京成杯が距離2000になった99年以降、上がり34秒を切って連対した馬は初めて。5ハロン通過も60秒7でハイペースに恵まれたものではなく、ポテンシャルがあるのは間違いない。5枠なので勝ち切るまではどうかも馬券には組み込んでおきたい。


矢作厩舎の“三本の矢”の1頭である、ミスタージーティーは、若葉ステークスで内枠から今までとは違う立ち回りの上手さを見せて成長力を感じた。今回も内枠でブリンカー装着。さらなる上積みも期待できる。鞍上は悲しみを乗り越えて騎乗し続ける藤岡佑騎手。応援馬券を買わせていただく。


【結論】

◎シンエンペラー

○ジャスティンミラノ

▲レガレイラ

☆ジャンタルマンタル

△コスモキュランダ

△アーバンシック

△ミスタージーティー


単勝◎

3連複◎軸1頭ながし

3連単◎1着ながし。