8293☆GⅠレース回顧〜桜花賞〜 | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.5

8293☆GⅠレース回顧〜桜花賞〜

晴れ・良馬場で行なわれた、第84回「桜花賞」(GⅠ)は、2番人気のステレンボッシュが優勝。2着1番人気アスコリピチェーノ、3着7番人気ライトバック。




阪神競馬場には、車道や厩舎地区なども含めて753本の桜の木(ソメイヨシノ)があり、そのうち馬場の外周には365本が植えられている。365本が1年を表す本数なのかは不明だが、今年も満開の桜が桜花賞に文字通り「花を添えて」いた。阪神競馬場に桜を植えた人には、JRA賞の馬事文化賞を差し上げたいくらいだ(拍手!)。
 そんな桜並木だが、今年のフジテレビの桜花賞中継では、ドローンを使ってゲート後方からの映像を撮っていた。


海外競馬ではよくある映像で、映像的には、桜ロードを走る馬たちの美しい映像にはなったが、スタートの状況や位置取りがわかりにくく、少なくともレース映像としては赤点。私はグリーンチャンネルでレースを見ていたが、今回の試みは今年限りとするのが妥当だと思う。JRAもドローンの許可を出すべきではなかった。

レースの話に戻そうw。

スタートは5〜6頭が前に行ったが、先頭に立ったのはショウナンマヌエラ。アスコリピチェーノは中団の外目、ステレンボッシュはその後ろ。ライトバックは後方からとなった。

[ハロンタイム]
12.5―10.8―11.2―11.8―11.8―11.4―11.2―11.5(1:32.2良)
 前半3ハロン34秒5は、過去10年で4番目、後半3ハロン34秒1は3番目タイの速さ。前半はそこそこの速さで後半もラップの落ち込みが少なく、これは、阪神ジュベナイルフィリーズと似たようなラップ構成となった。

[2023年・阪神ジュベナイルフィリーズ]
12.4―10.7―11.3―12.0―11.8―11.3―11.4―11.7(1:32.6良) 前半3F34秒4―後半3F34秒4
 同じコースで似たようなラップで走れば、阪神JF組が勝ちますよという結果。コース適性に加えてラップ適性がモノをいったレースだったとも言える。

ステレンボッシュはスタートで外にヨレたが、「強い馬(アスコリピチェーノ)の後ろ」というベストポジションを序盤から取って、4角でアスコリピチェーノの内に割り込んで外に弾く形になった。展開のアヤではなく、意図的に狙っていた可能性が高く、結果的に外に膨れた分だけアスコリピチェーノが届かなかったとみることができる。外からアスコリピチェーノが締めたら進路はなかっただけに、鞍上のモレイラの高等テクニックがもたらした勝利だった。
 モレイラは6月5日までの短期免許でオークスに騎乗できる。馬は休み明けでもマイナス4kgで数字からは仕上がっていたが、まだ次(オークス)を見据えての仕上げ。当然ながら「二冠」も視野に入るだろう。楽しみになった。

アスコリピチェーノは、レース後の北村宏騎手の「4コーナーのあたりが勝負どころだったと思う(抜粋)」と振り返った。やはり、あの場面がポイントだった。少し口向きが悪い馬でもあり「スタートは五分に出たが、そのあとはうまくスピードに乗れなかった」(北村宏騎手)という部分も含めて、右回りよりは左回りがいいのだろう。NHKマイルカップなら面白そうだ。


ライトバックは気性面に難があり、この日のパドックでもパシュファイヤーを装着して二人引き。ギリギリ我慢できてはいたが少しチャカつくところもあった。メンバー中、唯一の上がり32秒台(32秒8)の末脚で追い込んだように決め手は世代上位のものがあるが、気性面の成長待ちといったところか。


4着にスウィープフィート。

 序盤は最後方からレースを進めて4角でも後方2番手。そこから上がり2位の33秒0の末脚を繰り出したが直線で詰まり、追い出せたのは残り200の坂から。脚を余した形となった。鞍上の武豊騎手はレース前に「強い馬がたくさんいる感じで当然、厳しいレースになる」と語っていたが、レース後は「このメンバーでも十分にやれた。オークスでも楽しみ」とコメント。ただ、オークスは初めての左回りになる。そのあたりはポイントになりそうだ。


人気の一角だったクイーンズウォークは、馬場の悪い内に包まれて外に出すタイミングを逸して8着に終わった。状態面でも「マイル向きに仕上げるよりも先につながるように調整した」(中内田調教師)というように、前走からマイナス2kgでも緩く映った。オークス向きなのは明らかになったので、次に期待したいと思う。


この日、今年3月に新規開業した福永祐一厩舎が、福島8Rで初勝利を挙げた。桜花賞は騎手時代に主戦ジョッキーとして騎乗、菊花賞を勝ったエピファネイア産駒のステレンボッシュが勝った。競馬のロマンは、様々な場所で桜の花のように咲いていく。