8286☆GⅠレース回顧〜大阪杯〜 | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.6

8286☆GⅠレース回顧〜大阪杯〜

晴れ・良馬場で行なわれた、第68回「大阪杯」(GⅠ)は、2番人気のベラジオオペラが優勝。GⅠ初制覇となった。2着3番人気ローシャムパーク、3着11番人気ルージュエヴァイユ。



[ハロンタイム]
12.4―10.9―12.5―12.6―11.8―11.5―11.5―11.4―11.4―12.2(1:58.2良)

阪神芝2000は、スタートしてから最初のコーナーまでが325mと短く坂もあり、内でごちゃつく場面が多く見受けられるコース。当然ながら内枠の馬は揉まれたくないし、騎手心理としても前に行きたい気持ちが高くなりやすい。ハナを切ったスタニングローズも5番枠から鞍上が促して主張。休み明けの内枠で出遅れる心配もあったろう。故の逃げ選択。馬自身は初めて逃げる形になったが、3〜4ハロン目にかけて12秒5―12秒6とペースダウンしてマイペース逃げに持ち込んだ。

5ハロン60秒2はGⅠとしては遅く、ラスト5ハロンからのロングスパート消耗戦になったが、馬群は縦長にならずに固まった状態。イン追走の馬たちはストレスがかかる競馬を強いられた。
 勝ったベラジオオペラは、スタートから鞍上が強めに促しながら2番手を取った。普通ならハナに立つ勢いだったが、鞍上が抑えるとピタリと折り合った。強く出して行っても折り合う自信があったのだろう。このあたりは「とても操縦性がいい馬」というレース後の横山和騎手のコメントが象徴している。多少無理に出して行っても折り合いを欠くことはないという確信。そして、番手の競馬でノーストレス。今年の大阪杯は、最初の1角で決まったと言っても過言ではないだろう。
 もう一つ、鞍上の好騎乗だったのがローシャムパークが捲ってきた場面。ローシャムパークはベラジオオペラに並びかけると前に入ろうとした。その動きを見て横山和騎手はブロック。自分の前に入らせなかった。この騎乗はかなりの高ポイントだったと思うし、これもベラジオオペラの高い操縦性を表すシーンだった。
 人馬の相性の良さとベラジオオペラを知り尽くした鞍上。「乗り替わりではGⅠは勝てない」という格言を端的に示したレースだった。

ローシャムパークは、序盤は後方ポジションだったが向正面でペースダウンしたのを見て捲って行った。同時にソールオリエンスも動いたのだが、前にいないと勝負にならないから、これは悪くない判断だったと思う。ただ、捲ってから折り合いを欠いた。結果的に掛かった分、ラストで伸び切れなかった。

ルージュエヴァイユは、ベラジオオペラ以上に鞍上の好騎乗が目立った。外枠から上手く内に入れて、中団の後ろで馬にストレスを与えずに脚を溜めながら、直線は迷わずイン突き。騎乗した菅原明騎手は、10Rのキタサンブラックカップでも12番人気の人気薄馬を同じような戦法で2着に持ってきていた。奇しくもルージュエヴァイユと同じ7枠13番。本番前の“予行練習”で結果を出し、これならという自信があったのだろう。「思った通りの競馬ができた。あと少しだったので、ものすごく悔しいです(抜粋)」というコメントが無念さを表しているが、若手ジョッキーの中では騎乗技術に定評がある騎手。近い将来、GⅠにも手が届くだろう。

最後に、1番人気で11着に敗れたタスティエーラ。

 道中のポジションは好位ではあったが内に封じ込められた。馬自身が内で展開する競馬が初めてであり、馬場が悪い最内ラインを終始走らされて、かなりスタミナを削られた印象。この馬にとっては好枠が逆に仇になった。

 1週前に一頓挫あったことも影響したか? 陣営は、レース前から右前のことに関しては公表していた。きちんとケアができて順調だというので重い印を打ったが、直前は軽い追い切りでマイナス馬体重。輸送を考慮しても嫌なムードがあったのは確か。臨戦態勢になかったというのが妥当な見方で、どんな小さなアクシデントでも万全な状態でなければGⅠは勝てないことを改めて感じた。

 エフフォーリアのように阪神がダメという可能性もあるが、それに関しては、次走以降の阪神での走りを見るしかないと思う。