8230☆重賞レース回顧〜東京新聞杯・きさらぎ賞〜 | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.7

8230☆重賞レース回顧〜東京新聞杯・きさらぎ賞〜

曇り・良馬場で行われた、第74回「東京新聞杯」(GⅢ)は、7番人気のサクラトゥジュールが重賞初勝利。2着4番人気ウインカーネリアン、3着8番人気ホウオウビスケッツで3連単60万馬券の波乱となった。1番人気のマスクトディーヴァは6着、2番人気のジャスティンカフェは12着に敗れた。



[レースラップ]
12.0―11.0―11.4―11.7―11.7―11.4―11.3―11.6(1:32.1良)

レースは想定通りウインカーネリアンの逃げ。前半3ハロン34秒4は昨年と同じ数字だったが、上がり3ハロンは昨年が34秒7に対して今年は34秒3。ラップが落ちずに外差し勢には厳しく、前内での決着だったのも当然だった。実際に馬券圏内に入ったのは、4角6番手以内の馬たち。サクラトゥジュールも6番手から内を突いての勝利だった。
 鞍上のレイチェル・キング騎手は、先月のAJCCに続くJRA重賞2勝目。日本の競馬にアジャストする能力が高い印象だが、道中行きたがっていた馬を抑えた腕力も相当なもの。外国人騎手は女性でも腕っぷしの強いジョッキーが多いが、キング騎手と腕相撲をしたらあっさりと負けそうだw。
 この日のキング騎手は騎乗した3鞍すべてが最内枠だった。速いペースでも前内が止まらないのを十分に確認できたのは大きかったし、身元引受調教師の堀調教師の管理馬で普段以上の力を発揮したのかも知れない。

ウインカーネリアンは、昨年は中盤でもラップが落ちずに5ハロン57秒1のハイペースで粘り腰を見せてのレコード勝ちだったが、今年は4ハロン以降で息を入れて上がり勝負にも対応した。同じ斤量58kgだったので昨年の方が価値はあったが、昨年はパシュファイヤーを装着して今年はブリンカー。矯正馬具を付けた方がいいことが改めて証明された形。

マスクトディーヴァの敗因は出遅れに尽きる。パトロールビデオだと前扉が一瞬、開かなかったのがわかるが、前扉は突進すると安全装置が働いて開かない仕組み。あまりにも強く突進すると開くケースはあるが、馬自身がゲート内での行儀が悪くて扉に突進して開くタイミングが遅れた可能性が高く、これを八百長などと騒ぐ人がいるのはおかしな話で、ゲート内で大人しくさせるのは騎手の責任であり、今回も制裁は騎手になっていることを理解すべきだろう。勿論、JRA側に説明責任は生じるが。

ジャスティンカフェは後方4番手で位置取りが悪すぎた。しかも、後方のインポジションだったから直線では行くところ行くところで前が壁。元々が後方脚質ではあるが、もう少し流れを読んで欲しかった。脚の使いどころも難しい馬ではあるが、それは前走でわかっていたはずなので残念だった。


晴れ・良馬場で行われた、第64回「きさらぎ賞」(GⅢ)は、1番人気のビザンチンドリームがゴール前の接戦を制してデビュー2連勝を飾った。2着10番人気ウォーターリヒト、3着8番人気シヴァース。



[レースラップ]

12.8―11.3―11.5―12.2―12.4―12.2―12.0―11.1―11.3(1:46.8良)


レースはテイエムリステッドがハナを切って最初の3ハロンが35秒6で5ハロン通過も60秒2のスロー寄り。馬群も固まり、折り合い重視の展開になった。勝ったビザンチンドリームは、スタートで出ていかずに後方2番手だったが、先頭からはそれほど離れておらず3角で若干離されたものの、坂の下りから徐々に前に取り付いて、直線大外から上がり最速33秒7の末脚でゴール前の4頭の競り合いをハナ差制した。デビュー戦と同じように出遅れて上がり最速勝ち。大味な競馬だが能力の高さは初戦で折り紙付きだったから、ここでは力が一枚上だった。

 上がり3ハロンの数字を見ると、ビザンチンドリーム自身は、ラスト2ハロンは10秒台だった可能性が高く、これはもう強いとしか言いようがなく、内を突いたウォーターリヒトや、先行して流れが向いたシヴァースよりも内容も上であり今後も楽しみ。


(大接戦だったゴールの決勝写真)


2番人気のファーヴェントは、中団の中ポジションで折り合いもついていたが、直線でウォーターリヒトに併せて上がって行ったゴール前で、ウォーターリヒトとシヴァースに挟まれるような形で鞍上の川田騎手が立ち上がる不利があり6着に敗れた。パトロールビデオを見ると、左右から寄られてはいたものの、2頭の間を割るタイミングはあった。突っ込める脚がなかったかも知れないが、立ち上がって不利をアピールするのはやめて欲しかった。川田騎手は時々、このような不利受けましたアピールをすることがあるが(2022年ジャパンカップのダノンベルーガとか)、アピールするくらいなら追ってくれ!と思った。ファーヴェント本命だっただけに残念というか悔しい。


予想は2レースとも撃沈。東京新聞杯もきさらぎ賞も、本命馬のジョッキーにヘグられた感が強く残る、後味の悪いレース後だった(苦笑)。