6139◎優駿牝馬(オークス) | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.7

6139◎優駿牝馬(オークス)

今年から桜花賞で掲示板入りした5着までにオークスへの優先出走権が与えられるようになった。これは皐月賞5着以内馬にダービーへの優先出走権が与えられたのと同じ措置。ここから何が読み取れるかを、まず考えてみた。

何故、今年から5着馬までに優先出走権が与えられるようになったのか?
これは、桜花賞組を優遇することだけではなく、改革初年度から桜花賞組を好走させる胴元の思惑を強く感じる。桜花賞組が凡走したら改革の意味がないし、何のための優遇措置なのかと叩かれる。今年は例年以上に、桜花賞組が掲示板入りする可能性は高いのではないだろうか。

今年の桜花賞がハイレベルだったのは周知の事実。勝ったアーモンドアイの強さばかりが強調されるが、2着のラッキーライラックは負けて強しの競馬だったし、3着リリーノーブルもGIで崩れていない。桜花賞組の牙城を崩すのは容易ではない。

アーモンドアイに死角があるとすれば、一気に距離が延びることだが、父の血統からはプラスとは言えないし、ロードカナロアを2400で買うのは気が引ける。桜花賞の走りからは問題なくは見えるし、12ハロンはほとんどの馬が未知の領域。力の差でねじ伏せそうな雰囲気はあるが。

デビュー以降、馬体が増えたことがなく、ずっと減り続けているのは懸念材料だ。調教後の馬体重が前走比プラス8kg。桜花賞の時は前走比プラス2kgでそこから4kg減った。未勝利戦で東上した時は6kg減っており、今回もそれぐらいは減るだろう。少なくとも前走と同じか、できればプラス体重でレースを迎えたい。

それともうひとつ。
ルメールは桜花賞のレース後に「直線で真っ直ぐ走らせることだけを考えた」と発言している。これはアーモンドアイが何度も手前を替えたから。鞍上としてはかなり気を使う騎乗だったに違いない。桜花賞は上手く制御はできたが、桜花賞より長い直線で真っ直ぐ走れない危険性は孕んでいる。

ルメールは早くも三冠宣言をしたが、ルメールはレース前に馬の手応えを聞かれると「自信があります」と答えるのがお決まり。もっと自信があると「沢山自信があります」と答える。今回は更に上の「勝てると思う」と断言。相当な自信だ。

ラッキーライラックは毛色からも父系が強く出ている。距離延長は走ってみなければ分からないが、血統背景からはアーモンドアイよりは適性があると言える。
桜花賞の敗戦は、過去5戦のレースを分析すれば明確な答えが導き出せる。昨年のアルテミスSは勝ったものの、ゲートを出して行ったので力みながら走ってしまい、次走の阪神JFはゲートを出たなりで勝利。チューリップ賞も出たなりで勝った。ところが桜花賞は違った。単勝1.8倍の1番人気で最内枠。人気を背負っていたから出遅れて包まれるのだけは避けなければいけなかったので、ゲートを出したらハミを噛んでしまってハナに立つ勢いになってしまった。序盤でスムーズさを欠いたのが末脚に影響したのは明らかで、普通ならばリリーノーブルに差されていた。抜かせなかったのはこの馬の力。5ハロン58秒7の速い流れで先行勢で1頭だけ残った強さを忘れてはいけない。
今回は間違いなく馬の気分に合わせてゲートを出すだろう。元々ゲートに不安がなくスタートは速い馬。いいポジションも取れるはず。スムーズに流れに乗れば桜花賞の二の舞はない。

リリーノーブルの逆転は厳しそうだ。善戦はするが勝ち切れないキャラが定着しそうな感じがする。
父ルーラーシップなので距離は向きそうだ。父母のエアグルーヴはオークス馬であり祖母もオークス馬。エアグルーヴフリークとしては外せない1頭だが、良くて2~3着か。

桜花賞組以外からはフローラS組になるが、勝ったサトノワルキューレはポテンシャルが高い。
出遅れて最後方からの競馬だったが、上がりタイムも走破時計も過去10年で最速。馬群が比較的詰まっていたのも良かったが、息の長い末脚はオークス向き。ゲートが遅くてエンジンのかかりも遅いのがネックだが最後は必ず伸びてくる。デビュー戦からミルコが乗り続けているのも陣営の期待の表れだ。
この馬もデビュー以降、馬体が減り続けている。中3週で再度の東上でもあり、馬体減りが止まらないと苦しい。

その他の馬では逆転は難しいだろう。あるとすれば3着まで。今回は内枠を引けたマウレアと、前有利な馬場でパイオニアバイオを押さえておく。

今年のオークスは、出走馬の戦いとは別に新種牡馬の戦いでもある。アーモンドアイの父ロードカナロアとラッキーライラックの父オルフェーヴルは共に新種牡馬。桜花賞はアーモンドアイが勝ち、皐月賞はオルフェーヴル産駒のエポカドーロが制して仲良くクラシック1冠目を獲得した。
生産界としては、王者ディープインパクトが種牡馬としては晩年期に差しかかっているだけに、この2頭の新種牡馬の政権争いもまた、興味深い。



【結論】
◎アーモンドアイ
○ラッキーライラック
▲サトノワルキューレ
☆リリーノーブル
△マウレア
△パイオニアバイオ

3連単フォーメーション
◎→○▲☆→○▲☆△△
○→◎→▲☆△△