5778◎東京優駿~日本ダービー〜 | 九頭馬(万事馬九行久)~Ver.16.6

5778◎東京優駿~日本ダービー〜

皐月賞が大波乱になり、青葉賞馬が前売り1番人気の今年。
ダービーも波乱か?それとも堅く収まるのか?

「皐月賞をいい馬場で行うことが年間のテーマです」と、14年の皐月賞後に行われた中山芝の大改修工事で、中山の造園課はこうコメントしていた。芝の根付きがよくなり水捌けが劇的に改善された芝はタイムも出るようになって、今まで走らなかったディープインパクト産駒が走れる芝に変わった。皐月賞も15年がレースレコードにコンマ2秒差。昨年と今年は2年連続でディープ産駒がレコードタイムで勝った。

今年の皐月賞は内が荒れて砂塵が舞う状態でも超高速馬場でレコード決着。このあたりは造園課の努力の成果かも知れないが(ローラー疑惑はさておきw)、速い流れがマイラー指向の馬たちに向いた。
勝ったアルアインもシンザン記念→毎日杯というローテーションはマイラー路線のもの。そして、ディープ産駒。走れる要素は揃っていた。
血統的、体型的には2000以下の馬という見立ては変わらない。皐月賞を勝った事実は受け止めるけど、距離延びてドンと来いというタイプではないだろう。

2着ペルシアンナイトもシンザン記念→アーリントンCというマイル路線からの2着。勝ち時計は速かった皐月賞だが牝馬のファンディーナが1番人気に支持されるなど、総体的に見て評価できるものは少ない。

3着ダンビュライトは、今回絶好枠の1枠1番を引いた。過去10年で4勝2着2回3着1回の好枠でダービーを知り尽くしている武豊。無視はできなくなったが末がキレないキャラ。東京コースではキレ負けするイメージしかない。

ダービーの優先出走権利を逃した5着以下で変わり身が期待できそうなのは、5着レイデオロと6着スワーヴリチャード。
一頓挫あってぶっつけになったレイデオロは、後方から直線だけの競馬でいかにも休み明けに徹した走り。それでも上がり2位の脚で0秒4差まで詰めてきた。
今回は文字通り叩き一変。背タレ気味の馬体は2400向きとは言えないし、SSの血を持たないのは不利だけど、藤沢厩舎悲願の戴冠の可能性はある。

スワーヴリチャードは左回りが得意。それは脚の状態にも関係している。
写真を見るとわかるのだが、左爪の方が右爪より立っていて右爪は寝ている。膝も右の方が角度が滑らか。強い右脚で走りたがるのは必然だろう。皐月賞もずっと右手前で走りたがっていたと四位がコメントしている。右回りでも勝っているけど、それは未勝利戦であり地力の高さで勝てたようなもの。直線を右手前で走れる左回りは絶好の舞台になるはずだ。

池江厩舎はアルアインとペルシアンナイトを皐月賞に、サトノアーサーをダービーに使い分けした。そのサトノアーサーは、毎日杯は後方待機だったのに掛かり気味で距離延長の多頭数競馬では不安。器用さに欠けるので立ち回りの上手さが求められるダービーを勝つイメージが湧かない。

これらの馬たちをまとめて一蹴できる存在なのがアドミラブル。
衝撃的な勝ち方だった未勝利戦は裏開催の弥生賞が凡戦だったので、より一層その走りの価値が高まったことは何度も取り上げさせてもらった。
アザレア賞もドスローの流れから早目に番手に上がっての勝利。青葉賞は最後方から外を回して差し切る圧巻の走りで3連勝。道中のペースや位置取りに関係なく力を発揮できる強さは際立っている。

不安材料は確かにある。
中3週続きで再度の東上。2ヶ月足らずの間に2400を3回走るのも若駒にとっては大変なのに、輸送も加わるのだから疲労が心配されるのは当然だ。
ただ、この馬の場合は中3週のリズムが合うようで、それは管理する音無調教師も「中3週は仕上げやすい」と言っている。
青葉賞も馬のリズムで普通に走ったら普通に勝ってしまったレース。相手は弱かったけれども、弱かったからこそ最後は流す余裕が生まれ、疲労も少なかったのではないだろうか。カイ食いも非常にいいらしい。

問題はローテーションではなくて枠。
大外枠はダービーでは最悪の枠。枠順が発表された時には愕然とした。個人馬主に対する嫌がらせにも似た枠順操作。そんな匂いが漂った。
外枠でも先行できればノープロブレムだけど、中団よりも後ろからがこの馬のスタイル。青葉賞のような後方からのレースでは、幅員の狭いCコースでは4角から直線入口で外に振られやすくなる。内枠有利の理由のひとつがコレだ。
しかし、アザレア賞のように早目進出ならリスクは少なくなる。序盤から先行すれば勝利への確率はより高まる。ペースに対応できるから、ひょっとしたら逃げる作戦もあるかも知れない。1番人気馬の逃げ切り勝ちなんて素敵だ。

青葉賞馬が勝てないのは、ダービーの「七不思議」のひとつ。ローテーション云々は今や当たり前に言われるけど、青葉賞が創設された94年以降、青葉賞馬はダービーで1番人気になったことがない。あのシンボリクリスエスやゼンノロブロイでさえ、共に3番人気での2着だ。
出走した優勝馬22頭のうち3番人気以内に支持されたのは5頭だけ。そもそも人気がなかったから負けたのは当たり前だったのだ。

1番人気の青葉賞馬が勝って歴史を変えるのか?歴史は繰り返すで今年も勝てないのか?
もし勝てないのなら、それはある意味予定調和。
そんな予定調和は「僕は嫌だ」。



【結論】
◎アドミラブル
○スワーヴリチャード
▲アルアイン
△レイデオロ
△サトノアーサー

アドミラブルの単勝
馬連◎ながし
3連複フォーメーション
◎―○▲△△―○▲△△
3連単◎軸1頭ながし。