学力格差は幼児期から始まるか?
――経済格差を超える要因の検討――
お茶の水女子大学名誉教授内田 伸子先生
この論文のつづきです
![飛び出すハート](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/610.png)
「○○しなさい」「○○したらダメ」
「そんなやり方ではダメでしょ」など
指示したり禁止や命令の多い
お母さん(強制型)と
そういった禁止・命令・指示はせず
子どもと一緒に遊び
子どもの好きなことに
集中して取り組ませる「共有型」
の
高所得層(世帯収入は900万以上)
高学歴(大卒か大学院修了)の
専業主婦の親子を調査対象とした
観察調査が実施された
(要するに所得格差や母親の学歴に
大きな差がない人たちで
較べてみたということです)
親子でブロックパズル課題を解いてもらい
絵本の読み聞かせをしてもらうというもの
共有型しつけ群の母親たちは
親のほうから話しかけるのではなく
子どもの発話や行動に共感的に応じ
困った時だけヒントを出すなど
子どもに考える余地を与えるような
援助的なサポートを与えていた
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/590.png)
子どもは主体的に探索したり
自分で考え工夫して解決策を探し出し
達成感を感じている様子が窺えた
![立ち上がる](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/650.png)
一方,
強制型しつけをとる母親は
子どもに考える余地を与えない
トップダウンの介入を行う
また,過度に介入する
(これ中学受験ブログで
よく見かけるパターンです)
と言うと
![えー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/011.png)
「いや,それ難しいわよ。
まずこれをやって,
次にこれをやりなさい
![ビックリマーク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/039.gif)
」
母親の思いを前面に出し
母親の側でレールを敷いて
走らせようとする姿が目立った
![ハートブレイク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/085.png)
絵本を読み聞かせたあとで
「さ,今のお話,
どういうお話だった?
言ってごらん
」
「違うじゃない,
ママはそんなこと言ってないわよ
ほら,このページ
読んでごらん![物申す](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/621.png)
よく聴いてないんだから!」
特に目立ったのが
「勝ち負けのことば」
を連発する![ハートブレイク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/085.png)
子どもは母親の顔色を窺い,
顔色を見ながら行動している姿が
ビデオ映像に映し出されていた
![おねだり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/646.png)
子ども自身の主体的な探索活動がみられず
萎縮してしまっている様子であった
![ネガティブ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/625.png)
子どもは,自分が関心がないことにも,親の禁止や命令,過干渉,過度の介入によって,取り組まざるを得ない状況に追い込まれてしまう
![もやもや](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/102.png)
このようなプレッシャーの大きな環境での
子どもの
学びの質は低くなる![ダウン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/175.gif)
叱られながらやった勉強は身につかない
不快な緊張のもとでは
言葉は習得できず
学ぶ意欲も育たない![ダウン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/175.gif)
(いま幼児をお育て中の方、
要注意ですよ〰️
![不安](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/597.png)
)
【共有型しつけのススメ】
乳幼児期のしつけは成人期での社会的成功にまで影響するであろうか。この疑問を解くため,
東京都内で23歳~28歳までの成人の息子や娘を 2 , 3 人育てた家庭2000世帯を抽出して,親は子どもが乳幼児期~児童期に何に配慮して子育てしたか,実施した(内田2014)。
受験偏差値68以上の難関大学・学部を卒業して難関試験(司法試験や国家公務員試験,調査官試験,医師国家試験など)を突破した息子・娘をもつ親は,「子どもと一緒に遊び,子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませた」と答えた。
また絵本の読み聞かせも十分に行っていたことも明らかになった。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220626/11/medu4/98/0a/j/o0981096715138393725.jpg?caw=800)
また,親はどのように子どもに接していたかを尋ねると,子どもとの触れ合いを大切にし,親子で楽しい経験を共有する「共有型しつけ」をした親が多かった。
では,どうして乳幼児期のしつけが,大人になるまで影響を与えるのであろうか。
親が子どもの自発性・内発性を大事にしていて,子どもが熱中して遊ぶのを認め「面白そうだね」と共感してくれる。
大好きな親に誉められると嬉しいし,達成感も倍加する。
小さな成功経験を重ねると自信や自尊心が育まれる。難題をつきつけられても,「きっと自分は解決できる」という気持ちになり,レジリエンス(ストレスに耐えて回復する)や挑戦力もわくのである。
この積み重ねを通して社会的な「成功」を達成できたのであろう。
【結論】経済格差は超えられる!
一連の調査結果をまとめると
子どもの学力格差の原因は経済格差ではなく大人の養育や保育の仕方が媒介要因であると結論される。
わが家も育児中はこの論文によるところの
低所得層(年収691万円未満)でしたが
上記の「共有型しつけ」により
非常に高い学力を獲得しています![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/615.png)
教育課金は最小限におさえて
今があります![札束](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/335.png)
この論文を執筆されたお茶の水女子大学名誉教授内田伸子先生のご本はこちらです![飛び出すハート](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/610.png)
子育てに「もう遅い」はないらしいですよ![ひらめき](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/591.png)