<新日本:東京ドーム大会>◇5日◇東京ドーム

 歓喜は一瞬で終わった。

IWGPインターコンチネンタル(IC)王者内藤哲也(37)が、

IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(32)とのダブルタイトル戦を制し、

史上初の2冠を達成した。

前日のIC戦で王者ジェイ・ホワイトを破り、ベルトを奪取。

大逆転を果たしたが、試合後にKENTA(38)の襲撃を受け、

東京ドーム2連戦はまさかのバッドエンドとなった。(日刊スポーツ)

【写真】KENTAに急襲され、BUSHIの肩を借りて引き揚げる内藤哲也

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 最後にリングの中心にいたのは逆転の内藤だった。

オカダのレインメーカーを2発連続で食らったが3発目をかわし、

デスティーノをさく裂。

コーナーによじ登り、スターダストプレスを2年ぶりに解禁した。

この日引退したライガーの幻の技を内藤が復活させた。

体をひねりながら見事に決めた。

最後は再びデスティーノで3カウント奪取。

2年前、同じ舞台で敗れたオカダにリベンジした。

 オカダとは若手時代、寮の2人部屋で一緒に暮らした。

「いつの間にかこんなに大きくなったな、と」。

先にIWGPヘビー級王者となったのはオカダ。

内藤は15年にメキシコ修行から帰り、

ユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を結成。

予測不能のヒールキャラクターで大ブレークし、

18年1・4のメインでオカダに挑戦するが敗退。

「東京ドームのメインイベント、最高に気持ちいいだろ。

勝つと、もっと気持ちいいぞ」と屈辱の言葉を浴びていた。

 大きくなったオカダから得た勝利は格別だった。

試合後マイクを握った内藤は

「オカダ、オカダ。

東京ドームでのメインイベントでの勝利、ものすごく気持ちいいな」と呼びかける。

肩を担がれながら引き上げるオカダも無言で拳を突き上げ、再戦を約束した。

 昨年5月ごろから原因不明の体調不良に陥り、リングに集中できない日々が続いた。

引退が頭によぎる中で、「何かを残したい」という気持ちがふくらんだ。

11月末からの3週間のオフで体の不安は解消し、万全でドームを迎えたが、

その思いは変わらなかった。

史上初のドーム2連戦で絶対王者オカダを倒し、プロレス史に歴史を刻んだ。

 だが、ドームを包んだ歓喜は一瞬で消えた。

2年前にやるはずだったドームでの大合唱。

その最中にアクシデントは起こった。

「ロス・インゴーベルナブレス…」、次の言葉を言いかけた瞬間、

突然ヒール集団バレット・クラブのKENTAに襲われた。

キックでKOされ、無言で控室に消えた。

この日NEVER無差別級ベルトを失ったばかりのKENTAは

「史上初? やらせるか。このままじゃ終わらないぞ」と宣言。

2冠王者の内藤の前に暗雲が垂れこめた。【高場泉穂】