ドイツのボンで開催中の

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は5日、

日本が推薦した「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の

世界文化遺産登録を決定した。

軍艦島や八幡製鉄所など、

幕末から明治にかけ重工業の近代化を成し遂げた

日本の歩みを示す資産の歴史的価値が認められた。


 国内からの登録は一昨年の富士山、昨年の富岡製糸場に続き3年連続。

日本の世界文化遺産は15件目、自然遺産を含めると19件目となる。(時事通信)


 ユネスコ諮問機関は5月、

「わずか50年余りで急速な産業化を達成した。

非西洋地域に初めて産業化の波及が成功したことを示す」

と高く評価し、登録するよう勧告した。

 しかし、委員国の韓国が

「施設の一部で戦時中に朝鮮半島出身者の強制徴用があった」と主張。

日韓両国の協議で、

日本が太平洋戦争中を含む歴史全体を説明することなどで合意した。

 佐藤地ユネスコ代表部大使は、登録決定後の演説で

「朝鮮半島の多くの人々が意思に反して連れて来られ、

働かされたことへの理解を進める」と述べ、

情報センター設置などを進める考えを表明した。

韓国政府代表は

「日本が誠意をもって履行すると信じる。

被害者の苦痛を記憶にとどめ、歴史の傷を癒やす重要な一歩だ」と述べた。

 産業革命遺産は、

軍艦島の通称で知られる「端島炭坑」(長崎市)や

「三池炭鉱」(福岡県大牟田市など)、

国内最古の洋式高炉「橋野鉄鉱山・高炉跡」(岩手県釜石市)、

幕末の姿を残す「韮山反射炉」(静岡県伊豆の国市)など8県23施設で構成。

「三菱長崎造船所」(長崎市)や「官営八幡製鉄所」(北九州市)など

稼働中の資産が国内で初めて登録された。

 産業革命遺産と同時期に文化審議会が推した

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は2016年の登録に向け推薦済みで、

同年には

東京・上野の国立西洋美術館を含む

「仏建築家ル・コルビュジエの建築物群」(フランス推薦)も審議される。