オウム真理教による地下鉄サリン事件で運転手役を務め、

殺人罪などに問われた元信者高橋克也被告(57)の裁判員裁判の判決が

30日、東京地裁であった。

中里智美裁判長は、争点だったサリン散布の認識について

「サリンを含む危険な毒物を散布すると認識していた」と認定し、

求刑通り無期懲役を言い渡した。


 一連のオウム事件で最後の被告の裁判。

地下鉄事件が裁判員裁判で審理されたのは初めてで、

判決は「常軌を逸した無差別大量殺人」と非難した。(時事通信)


 弁護側は「サリンをまくとは知らなかった」と無罪を主張したが、

中里裁判長は

「まくものが教団で製造したサリンだと、容易に思い付く状況だった。

人体に有害な毒物と認識していた」と指摘した。

 ただ、事件前夜に高橋被告を含む実行役ら11人が集まった際、

「サリン」という言葉が出たと証言したのは2人だけだったことなどから、

「サリンだと確定的に認識していたとは認められない」と述べた。

 猛毒VXによる殺人・殺人未遂、

公証役場事務長拉致、東京都庁爆発物の各事件についても、

起訴内容を全て認定。

高橋被告は、VX事件は無罪を主張し、

拉致、爆発物両事件は一部の罪を認めていた。

 量刑理由では

「被告は従属的な立場だったが、

教団の非合法活動に関与し続けることで

自らの居場所を見いだそうとした」と指摘。

「17年の逃亡の間、反省を深めた様子はなく、更生に向けた兆しもない」

と非難した。

 地下鉄事件の運転手役は高橋被告以外に4人いるが、

松本サリン事件などにも関与した新実智光死刑囚(51)を除く全員が、

求刑通りの無期懲役判決を受けている。