「出家詐欺」を取り上げたNHKの報道番組「クローズアップ現代」で

やらせがあったと指摘された問題で、

NHKの調査委員会(委員長・堂元光副会長)は28日、

過剰演出や事実確認の不備があったとする報告書を公表した。

事実の捏造(ねつぞう)につながるやらせは行っていないと結論付けた。


 報告を受けNHKは、

担当した大阪放送局報道部の男性記者(38)を停職3カ月とするなど

関係者15人の懲戒処分を決めた。

籾井勝人会長ら役員4人は、報酬の一部の自主返納を申し出た。

(時事通信)


 番組は昨年5月に放送され、

問題となったのは

多重債務者がブローカーを訪ね、

相談する現場を記者が取材したとされた場面。

報告によると、多重債務者とされた男性は記者と8年前から面識があり、

撮影前に打ち合わせもしていた。

調査委は、相談後の男性を追いかけてインタビューしたシーンなどは、

放送ガイドラインを逸脱する過剰な演出だったと指摘。

実際の取材過程とかけ離れた編集もあったとした。

 一方、ブローカーとされた大阪府内の男性は

「自分はブローカーではなく、記者の指示で演技をさせられた」として

訂正放送を求め、

放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会へ

人権侵害の申し立てを行っている。

報告は、裏付けのないままブローカーと断定的に伝えた点で、

取材が不十分だったと認定。

ただ、「記者から具体的な指示などはなかった」として、

やらせはなかったと判断した。

男性がブローカーだったかどうかは確認できなかったとしている。


 報告は、チェック体制の不備なども指摘。

記者会見した堂元副会長は

「反省すべき点が多々あり、再発防止に努めていきたい」と陳謝した。