任期満了に伴う沖縄県知事選は16日、投開票された。

日米両政府が進める

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の

名護市辺野古移設の是非が最大の争点となり、

県内移設反対を掲げた翁長雄志前那覇市長(64)が、

3選を目指した推進派の仲井真弘多知事(75)=自民、次世代推薦=ら

3人を破り、初当選した。

仲井真氏に約10万票の大差を付けた。(時事通信)


 知事選は、

仲井真氏が昨年末、辺野古沿岸部の埋め立てを承認して以降、

全県レベルで民意が問われる初めての機会となった。

政府は現行移設計画を堅持する方針だが、

翁長氏の勝利で、作業の進捗(しんちょく)に影響が及ぶのは必至だ。


 投票率は64.13%で、前回を3.25ポイント上回った。


 翁長氏は16日夜、那覇市内で記者団に、仲井真氏の承認について

「民意は違うということを日本政府や米国政府、国連に行って届けたい」と強調。

承認の撤回や海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイの配備撤回に

「全力を尽くす」とも述べた。


 翁長氏は元自民党県連幹事長ながら「辺野古移設阻止」を明言し、

同党や経済界の一部、共産、生活、社民、沖縄社会大衆各党など

幅広い層から支援を受けた。

1972年の本土復帰後、

保守と革新による事実上の一騎打ちが続いてきた知事選の構図は一変した。


 仲井真氏は、

周囲に住宅などが密集する普天間飛行場の危険性を

速やかに取り除く必要性を強調。

政府・自民党の全面支援を受けたが、

前回知事選で公約した「県外移設」との矛盾を批判されたことなどが響いた。

自民党の茂木敏充選対委員長は翁長氏勝利を受け、党本部で記者団に

「(知事選結果にかかわらず)普天間の危険除去に向け、

政府・与党として準備を進めていく」と述べた。


 県内移設に反対の声が強い県本部に配慮した公明党と、

鳩山政権時代に移設問題で迷走した後、

辺野古移設に回帰した民主党はそれぞれ自主投票で臨んだ。


 知事選には、

県民投票での決着を唱えた下地幹郎元郵政民営化担当相(53)と、

埋め立て承認の取り消しを主張した喜納昌吉元参院議員(66)も出馬したが、

浸透しなかった。