英国北部スコットランドの英国からの分離、独立の是非を問う住民投票は

19日、開票の結果、反対多数で否決された。

国内のみならず国際的に悪影響が広がることが懸念されていた

英国の分裂という歴史的な事態はかろうじて回避された。(時事通信)


 19日朝までにスコットランドの全32地区の結果が確定。

反対が55.3%、賛成が44.7%だった。

事前の世論調査では、賛否が拮抗(きっこう)しており、

僅差になるとみられていたが、予想外の大差となった。

有権者が独立という未知の世界に飛び込むのを

土壇場でためらった可能性がある。


 有権者の関心は極めて高く、

投票率は世界の民主主義国でも異例の84.6%に達した。


 独立賛成派を率いてきたサモンド・スコットランド自治政府首相は19日早朝、

中心都市エディンバラで支持者を前に演説、

「民主的な決定を受け入れる」と述べ敗北を認めた。

一方、キャメロン英首相は

「今は英国を一緒に前に進める時だ」と和解を呼び掛けた。


 住民投票は、2011年のスコットランド議会選で

スコットランド民族党(SNP)が過半数を奪った後、

12年に自治政府と英政府の合意により実施が決まった。

 賛成派は、独立によって、今より豊かで民主的な国になれると訴え、

反対派は逆に独立は財政悪化を招き生活も悪化すると警告した。

当初独立への支持は低かったが、

地道な草の根運動を進めてきた賛成派が9月に入って急激に追い上げ、

一時は独立が現実味を帯びる緊迫した事態となった。


 首相はじめ英国の主要3党の党首は投票の直前、

独立を阻止するため自治政府への大幅な権限移譲を早急に実施すると約束した。

その履行が直ちに課題となる。

首相は独立否決後の声明で「約束は全面的に守る」と再確認した。