ロシアのプーチン大統領は1日、

ウクライナへの軍事介入を上院に提案し、

上院は全会一致で承認した。

ウクライナ南部クリミア自治共和国で

ロシア軍が展開する条件が整ったことで、

緊迫が続くウクライナ情勢は重大局面を迎えた。

大統領は声明で

「ウクライナの非常事態と

ロシア系住民の生命の脅威に関連し、

事態が正常化するまで、

ウクライナでロシア軍兵力を使うことを上院に提案した」と表明。

軍事介入の方針を決めたプーチン政権の強硬姿勢に、

欧米諸国が反発するのは必至だ。(時事通信)


 ロシア系住民の多い

クリミア自治共和国の親ロシア派、アクショノフ首相は1日、

全軍と治安部隊を指揮下に置くと宣言するとともに、

プーチン大統領に治安回復に向けた支援を要請。

こうした動きを受け、ロシアのマトビエンコ上院議長は、

クリミア半島での限定的軍事行動を容認すると表明。

ナルイシキン下院議長もロシア系住民保護のため

全手段を講じるようプーチン大統領に求めていた。


 親欧州連合(EU)派のウクライナ新政権のテニュフ国防相は1日、

ロシアがクリミア半島に約6000人の兵力を追加派遣したと非難。

半島南部フェオドシアで、

ウクライナ軍部隊が武装したロシア軍人らを拘束したことを明らかにした。

ロシア軍人らはウクライナ海兵隊基地に侵入しようとして捕まったという。

また、報道によると、半島西部エフパトリアで、

ロシア軍がウクライナ対空防衛施設の襲撃を試みて失敗したもようだ。

戦闘や死傷者の有無は不明。


 アクショノフ氏は

「内務省、非常事態省、陸軍、海軍、税務当局、国境警備隊を掌握する。

従わない指揮官はクリミアを去るべきだ」と表明。

クリミア自治共和国は事実上の「軍」創設の動きを強めている。

アクショノフ氏は、既に重要拠点警備で黒海艦隊と協力していると語った。


 アクショノフ氏は、

自治権拡大の是非を問う住民投票を

5月25日から前倒しして3月30日に行うと発表。

また、現地のロシア総領事館は、

住民へのロシア旅券(国籍)発給を拡大する用意を明らかにした。

ロシアは2008年グルジア紛争で

「ロシア国籍者」の保護を名目にしていた経緯があり、

クリミア半島の「ロシア化」政策の一環とみられる。

クリミア半島は1954年の帰属替えまでソ連ロシア領だった。