コンテンツを作る製作側の人間が、新しく発表される放送機器の品定めに行くというのが主な目的で、毎年一度、春に開催され、今年で38回目なので、由緒ある展示会の部類に入るのだと思う。

その昔はアトランタなどで開催されていたようだが、私がこの業界に入ってからは、ずっとラスベガスで開催されている。華やかで何かと娯楽の多いラスベガスの方が人が集まるというのが理由のようだ。
放送業界での最近の注目は、高画質化(高解像度化)に尽きると言っていい。
皆様も4Kや8Kという言葉を聞いた事があると思うが、画質を表す単位がKで、我々が見ている通常のハイビジョンテレビの画質が1Kなのに比べ、4Kは4倍、8Kは16倍、画質が良いという事になる。
4Kはコンテンツが少ないながらも放送が始まっているし、家庭用テレビも価格がぐっと安価になってきているので、これから身近に目にする機会も増えてくるだろう。
8KはNHKが主に開発している「スーパーハイビジョン」と呼ばれるもので、画質はさることながら、音声もサラウンドで22.2chというとんでもない代物で、まだ家庭で見る事はできないが、ワールドカップのパブリックビューイングや渋谷放送センターの展示ブースなどで見る事ができる。映画館のような広い空間で視聴していると、さながらその会場にいるような錯覚に陥るほどの迫力があるので、機会があれば一度、体感してみてほしい。
そんな放送業界の景気動向だが、不景気の煽りを受け、企業の広告費が削減されると、お金が回らないので、機器メーカーもコンテンツを作る製作側も、ここ数年は元気がないのが実情だ。
十数年前は夜な夜な、あちらこちらでパーティーがあり、ゴルフ場のクラブハウスを貸切ったり、アーティストを呼んでライブをしたり、という光景が珍しくはなかったのだが、最近はめっきり減った・・。
今この業界で勢いのある企業といえば、それは既存の放送機器メーカーではなく、IT系から参入してきた新参者企業だ。彼らには製品を一から開発するつもりは最初からなく、ほしい技術を持っている企業を丸ごと買収し、そのいくつかの技術を組み合わせて、オリジナルの製品を開発するという発想なので、既存のメーカーにはない、新しい発想の製品が毎年発表され注目されている。
性能もデザインもそれなりで、何より価格が安価なのですごく売れている。
ちょっと信頼性には欠けるが、この価格なら納得できると、導入をしているところが多く、放送機器業界もまさにデフレの波にもまれている。
老舗メーカーや、独創的なアイデアのある零細企業には、新参者にひと泡吹かせるくらいの意気込みで、積極的な開発をしてもらい、新しい製品やアイデアを見せつけてくれる事に期待している。
そして何よりも個人的には、この展示会の魅力は、もっと他の側面にあると思っている。
出展者も来訪者もそれなりに活躍している人には、この会場に来る事がひとつの節目になっていて、「今年もお会いしましたね」とか、「おーっ、久しぶり」とか、「私は最近こんな作品を撮っていますよ」などの声があちらこちらで聞こえてきて、会場はまるで同窓会かお祭りのような雰囲気になる事だ。この会場で数年間お会いできない人がいると、転職したのかな?引退されたのかな?と心配になってしまう。
私も初日から訪れる予定なので、新しい製品に触れ、いろんな人と会って情報を交換し、お祭りを楽しんでくるつもりだ。いろんな時代の波や、企業の世代交代などもあると思うが、このお祭りが毎年開催される事を望みながら。
では、新しい業界の動向を、また報告します。
medippa編集長 伊藤きよし
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